バス事故検討委が対策とりまとめ、旅行会社の処分強化も
国土交通省は6月3日、「安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策」を公表した。今年1月に軽井沢で発生したスキーバス事故を受けて設置した「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」が10回の会合を経てとりまとめたもの。同日には委員長を務める一橋大学大学院教授の山内弘隆氏が国土交通大臣の石井啓一氏に手交し、石井氏は「実行可能な対策から、速やかに実行に移していく」と約束した。旅行会社関連の対策では行政処分強化の検討なども含まれている。
同対策では基本的な考え方として、政府は安全運行に関する遵守事項を強化し、貸切バス事業者の法令違反を早期に是正させること、不適格な事業者は排除することなどを明記。バス事業者と旅行業者には安全確保を最優先に考え、連携して環境整備を進めることを求めている。
このうち旅行業関連の対策では、今年の7月を目途に省令などを改正し、運送引受書の記載事項に運賃の上限・下限額の記載を追加すること、手数料などの額または率について書面を取り交わすこととした。また、今夏までに国交省内に運賃違反に関わる情報の通報窓口を設置すること、旅行業界とバス業界の共同で独立性の高い通報対応組織を設置することなども記している。
そのほか今夏までに、通達を改正して旅行商品のパンフレットなどにバス事業者名などを掲載することとし、JATAなどが定めた「安全運行パートナーシップガイドライン」については「安全運行パートナーシップ宣言」に改訂。また、16年中に比較サイトなどにおいて「貸切バス事業者安全性評価制度(セーフティバス)」の認定ランクなどが掲載されるよう、バス事業者の安全情報を公表する。
違反のあった旅行会社への行政処分の強化については、これまでの議論を踏まえながら、17年春までに検討を進める。現在は法規制の対象となっていないランドオペレーターの規制のあり方については、17年春以降に検討を実施する。
なお、これらの対策の実施にあたっては、同委員会が随時検証をおこなう予定。必要に応じて内容の見直しや、実施方法の改善をはかるという。