JATAとフランスが初のMOU、訪仏需要回復へ-仏外相も歓迎
日本旅行業協会(JATA)とフランス観光開発機構は4月12日、昨年11月のパリでの同時多発テロ事件などにより落ち込んでいる訪仏旅行需要の回復をはかるためのMOU(覚書)を締結した。対象期間は2016年1月から12月までで、JATAと同機構がMOUを締結するのは今回が初めて。両者の協力によるイベント開催などの活動を通して、訪仏日本人旅行者数の回復をめざす。
MOUの内容は非公開だが、同機構によれば2月に旅行会社向けのセミナーを、3月に消費者向けのセミナーをそれぞれ実施したことも内容に含まれるという。今後は6月に1000名規模の大型イベントを予定しているほか、9月のツーリズムEXPOジャパンでは同機構が中心となり、旅行会社や消費者に対して大規模なピーアール活動をおこなう計画だ。
同日に開催した意見交換会とMOU締結式には、G7広島外相会合にあわせて来日したフランス外務・国際開発大臣のジャン=マルク・エロー氏が参加。MOUの締結により「両者がさらに努力して協力を進めれば、日本の観光客に再びフランスに来てもらうチャンスはある」と期待を示した。同氏は、テロの発生により日本人が訪仏旅行に対して不安を覚えることについては「否定はするつもりはない」としながらも、「我々は訪問者の安全を確保するために全力を尽くしている」と強調。「フランスは旅行者がリラックスして過ごせる状況に戻ってきた」と語り、「日本の観光客はフランスで大変好かれており、評判もいい。是非来て欲しい」と呼びかけた。
意見交換会では、JATA副会長の菊間潤吾氏がフランスへのパッケージツアーの状況について、「旅行者数は1月から3月は前年比70%減、4月から6月は50%減、7月から9月の予約状況は30%減と、未だに低迷している」と説明。3月に発生したブリュッセルでのテロ事件についても「欧州全体への旅行者数が大きく低迷した」と語り、遺憾の意を示した。その上で「逆風の状況だがMOU締結を機に、業界を挙げて地道に正確な情報を発信し、フランスの地方の魅力を多く発掘して商品化する努力を続けていきたい」と意欲を示した。
同機構日本代表のフレデリック・マゼンク氏は、「日本人は旅行会社を介してフランスに行くため、我々は日本の旅行会社とともに仕事をすることが重要」とMOUの意義を強調。JATAやエールフランス航空(AF)と日々連絡を取り合い、日本人旅行者数の回復に向けた取り組みを進めている旨を説明した。
このほか、意見交換会ではAF日本支社コマーシャルディレクターのジャン=ユード・ドラブルテッシュ氏が、日本人の誘客のためには「フランス全体、パリ、イル・ド・フランス地方などについて、ポジティブなメッセージを発出していくべき」と提案。アコーホテルズ・メルキュールホテル銀座東京・イビス東京新宿総支配人のマティユ・フィルマン氏は「アコーホテルズグループ全体で、日本人をフランスに誘客するための努力を続けていく」と述べた。