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外務省、ブラジル渡航者に黄熱の予防接種奨励、リオ五輪控え

  • 2016年2月22日

 外務省はこのほど、今年8月にリオデジャネイロで開催されるオリンピック大会およびパラリンピック大会の開催中に、出場または観戦目的でブラジルを訪問する旅行者に対して、黄熱の予防接種をおこなうことを呼びかけた。多くの観光客が訪れるイグアスの滝や首都のブラジリアのほか、ベロオリゾンテ、マナウスなど同国の一部の地域について、世界保健機関(WHO)黄熱の予防接種を推奨していることを受けたもの。外務省では、リオデジャネイロのみの訪問については黄熱の感染リスクはないとしている。

 黄熱は、黄熱ウイルスに感染したネッタイシマカを媒介として伝播する急性感染症。熱帯アフリカと南アメリカで患者の発生が報告されており、定型的な症状としては突然の発熱、頭痛、背痛、嘔吐などがある。致命率は5%から10%程度だが、重篤な場合には50%にまで達し、ウイルス性出血熱の病態を示す。現時点で有効な治療薬はなく、脱水や呼吸不全などに対する支持療法のみがおこなわれている。ネッタイシマカはデング熱や、ブラジルなどで急拡大しているジカ熱のウイルスを媒介する蚊の1つとしても知られている。

 黄熱の予防接種は、日本国内では指定された検疫所など24ヶ所のみで可能。予約制でピーク時には予約が取れない場合があるため、外務省では早期の接種を呼びかけている。予防接種証明書は接種の10日後から10年間有効。