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トップインタビュー:ドイツ観光局アジア豪州地区統括局長ケッテルハーケ氏

16年は都市と自然をアピール
周辺諸国と協調、欧州の魅力を訴求

 2015年1月にパリで起きた新聞社襲撃事件や、同年11月の同時多発テロ事件などの影響により、欧州への旅行需要は落ち込みを見せている。こうしたなか、欧州諸国は今年、日本市場に対してどのようにアプローチをおこなっていくのか。ドイツ観光局アジア・オーストラリア地区統括局長のレイカート・ケッテルハーケ氏に、昨年を振り返っていただくとともに、今年のプロモーション方針などを聞いた。


-15年を振り返っての所感と今年の見通しをお教えください

レイカート・ケッテルハーケ氏(以下、敬称略) 15年の日本の海外旅行市場の状況は、我々にとって難しいものだった。前半は1月にパリで発生した新聞社襲撃事件の影響で、ドイツへの旅行需要も落ち込んだ。その後の数ヶ月は、ユーロに対する円安が多少は緩和したことや、燃油サーチャージの値下がりなどで、宿泊数が前年を上回った月もあったが、11月13日のパリで起きた同時多発テロ事件で、再度減少している。

 ドイツの15年1月から9月までの日本人宿泊数は、前年比3.0%減の91万4227泊だった。ただし、同期間の日本人出国者数が4.9%減の1211万4100人だったことを考えると、我々は健闘したと言えるのではないか。

 我々は欧州における日本人の海外旅行先としては、フランス、イタリアに次ぐ3番目であり、大変良い位置にいる。ここ数年を振り返ると、日本人宿泊数の数は多少の増減はあるが、安定している。我々にとって日本は成熟した市場であり、ドイツの旅行者のうち約5割はリピーターだ。もしもテロ事件などがなければ、日本人宿泊数は昨年並みだっただろう。

15年は14年比で2%から3%減に着地する見込みだが、日本人の海外旅行に対する「安心・安全」面の懸念や、円安、航空座席の減少などを踏まえると、その程度の減少であれば「不満のない結果だった」といえるだろう。16年については、明言は難しいが、市場の安定性をポジティブに捉えており、昨年と同様の規模の宿泊数をめざしたいと考えている。