国交省、軽井沢バス事故で対策検討委設置、旅行業界も参加

  • 2016年1月24日

 国土交通省は1月22日、「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」を立ち上げた。15日に長野県軽井沢町で発生したスキーバス事故を踏まえたもので、バス事故の再発防止徹底に向けた方策について検討する。

 同省によれば、貸切バス事業を免許制から認可制にしたことによる事業者の大幅な増加や、人口減少によるバス運転手不足、運転手の高齢化などに伴う構造的な問題を踏まえて検討を進めていく予定。検討内容は、事業参入時や参入後の安全確保に対するチェックの強化、運転手の運転技術の強化、運賃制度の遵守、バスの衝突被害軽減ブレーキなどハード面における安全対策強化などとした。

 まずは第1回の会合を1月29日に開催し、今夏までに総合的な対策についてとりまとめをおこなう。また、今年の3月末までに実施可能な施策について審議をおこない、順次展開していく予定だ。

 委員会には日本バス協会、日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)、消費者団体などの代表や、大学関係者および労働組合の関係者、弁護士などが参加。JATAからは国内・訪日旅行推進部長の興津泰則氏が参加する。先ごろ開催されたJATAの定例記者会見で、興津氏は「旅行会社の役割は、あくまでも旅程管理と下限運賃の遵守が役割」とした上で、「バス事業者が安全運行を継続するため、下限運賃の遵守を旅行会社に対して強くお願いしていきたい」と語った。

 また「バス事業者にとっては安全運行が義務であり、安全なくしてビジネスは成り立たない」と強調。日本バス協会の「貸切バス事業者安全性評価認定制度」の認定取得者が依然として少ないことを課題として挙げるとともに、認定されたバス事業者については、一般消費者に対して制度を強くアピールするよう求めた。

 国土交通省では現在、貸切バス事業者などを対象とした緊急監査を実施しているところ。そのほか貸切バスに対しては、街頭での抜き打ち監査も実施しており、20日夜に新宿でおこなった監査では、6台中5台で運行指示書内に運転手の休憩場所や時間を書いていないなどの不備が見つかったという。今後はスキーシーズンの3月中旬までに、約100事業者を対象に実施する予定。観光庁も旅行会社を対象とした抜き打ち検査を計画しているという。