現地レポート:韓国・江原道、新作ドラマを機に観光促進

  • 2016年1月21日

「チャングムの誓い」の人気女優が復帰
ロケ地観光や平昌五輪で高まる期待

記者懇談会に臨んだソン・スンホン(左)とイ・ヨンエ  「宮廷女官チャングムの誓い」で日本でも一躍人気女優となったイ・ヨンエが約10年ぶりに韓流ドラマに戻ってくる。現在、復帰作となる「師任堂(サイムダン)The Herstory」の撮影が進行中。その舞台となるのが韓国の東北部に広がる江原道(カンウォンド)だ。東海岸の町、江陵(カンヌン)を中心にロケ地が点在するため、新たなロケ地巡り観光の期待も大きい。また、江原道には2018年に冬季オリンピックが開催される平昌があり、韓流と五輪を組み合わせた観光素材開発にも期待がかかる。今回は、韓国観光公社(KTO)と江原道によるファムツアーの様子をレポートする。


イ・ヨンエ復帰作で再び韓流ブームを

「師任堂」のピーアール用イメージ(写真提供:江原道)  「師任堂」は、朝鮮王朝時代の女流画家で、肖像が韓国の5万ウォン紙幣に用いられている申師任堂(シン・サイムダン)の生涯を描く歴史大河ドラマ。韓国美術史を専攻する大学講師が、偶然見つけた師任堂の日記と謎の美人図の秘密を解き明かしていくというストーリーで、イ・ヨンエが大学講師と師任堂の1人2役を演じる。申師任堂は、絵画や書道に通じた芸術家として有名だっただけでなく、息子を優秀な政治家・儒学者に育て上げた良妻賢母として、現代韓国でも尊敬の念を集めている人物だという。

 同作品はイ・ヨンエの復帰とともに、アジアでも人気急上昇中の韓流スター、ソン・スンホンが共演することもあって、国内外で話題となっている。現在、江原道を中心に撮影がおこなわれており、韓国SBSが16年下半期から放映を始める。日本をはじめ、中国、タイ、シンガポールなどのアジア各国でも放映される予定だ。

「烏竹軒」でのプレショーには多くの報道陣が集まった  韓流ドラマは韓国の優良輸出品。「師任堂」は、韓国国内だけでなく、アジア各地で新しい韓流ブームを起こすきっかけになると期待されている。江陵で発表会を兼ねて開かれた記者懇談会には、日本を含むアジア7ヶ国・地域から報道関係者が招待されたことからも、韓国サイドの意気込みが感じられる。

 懇談会には、主演の2人も登場。イ・ヨンエは「全世界の女性が共感できる内容になっている」と作品をアピールするとともに、「アジアの皆さんには韓国の新しい美しさを感じてもらえるのではないか」と話し、韓流ブームの再現に期待を込めた。また、ソン・スンホンは「イ・ヨンエ先輩との共演は大変光栄。それが、このドラマへの出演を決めた最大の理由」と話し、「師任堂」への意気込みを示した。

KTO社長の鄭昌洙氏  また、懇談会では韓国観光公社(KTO)社長の鄭昌洙氏もあいさつ。18年の平昌、20年の東京、22年の北京でそれぞれオリンピックが開催されることについて触れ、「東アジアの観光促進にとって大きなチャンス。3ヶ国で『観光ベルト』を築いていてはどうか」と提唱するとともに、「このドラマをきっかけに、韓国を代表するリゾートである江原道を『癒やし』のデスティネーションとしてアピールしていきたい」と強調した。

 15年の訪韓日本人旅行者数は、中東呼吸器症候群(MERS)の発生などの影響を受け、前年比20%減の180万人程度に落ち込む見込み。一方、訪日韓国人旅行者は増加を続けており、今年は380万人近くに達すると見られている。日韓両国は相互交流700万人の早期実現に向けて連携を強化しており、訪韓市場ではその取り組みの1つとして地方への日本人旅行者誘致を積極的に進めているところだ。