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アクセスランキング、1位は世界最長路線、タイ方針も

[総評] 今週の1位は、エミレーツ航空(EK)が来年2月に開設するドバイ/パナマシティ線の記事でした。日本に直接関わらない路線ながらここまで注目が集まったのは、世界最長だからこそでしょう。17時間30分超のロングフライトで、恐怖症というほどではないにせよ狭い場所が苦手な身としては、エコノミークラスでアイルに座れなかったことを想像するだけで背筋が寒くなってしまいます。

 そう考えると私のような人間は経由便を選択するべきなのでしょうけれども、かといってトランジットで何時間も待たなければならないとすればそれも苦痛です。我ながら勝手なことを言っていると感じますが、まあ消費者とはそういうものでしょう。そうであればこそ様々な技術革新がおこなわれてきたわけで、今後も旅客機の巡航速度や機内の快適性を向上する取り組みは続いていくはずです。

 またもう一つ考えるのは、人はなぜその時々の苦難、苦労を受け入れてまで旅をするのかという根源的な疑問です。巡礼であるとか、あるいはさらにさかのぼって食料確保のための移動であるとか、その起源は諸説あるようですが、現代まで続く人間の旅への欲求の本質を説明するものではないように思います。

 以前、「世界中どこでも食べ物と女性が一緒ならば戦争は起きない」という主張をどこかで読んだ気がするのですが、仮にこの説が正しいとすれば、旅も「違いがあること」を前提としている点では通じるものがあるのかもしれません。戦争と旅に共通項があるというのも皮肉ですが、「違い」を奪って自らのものとするか、見聞きし楽しんで糧とするのか、どちらが好ましいかは述べるまでもないでしょう。

 9位にはタイ国政府観光庁(TAT)東京事務所所長への取材記事がランクインしていますが、今週はバンコクで爆弾テロ事件が発生したところで、記事にもある通り需要への影響が心配されます。タイでは政情不安がある意味で常態化していてデモなどが発生しても冷静でいられる部分がありましたが、今回は繁華街で発生しなおかつ観光客や現地の在留邦人が被害にあっており、これまでとは異質な印象を受けます。

 今回のテロの背景は不明ですが、おそらく何かしらの「対立」の結果であり、つまりこれもまた「違い」の一つでしょう。違いがあるから旅をし、違いがあるから殺す――無差別テロと戦争は別物かもしれませんが、異質への態度という意味で旅行との差を考えてしまいます。

 聞くところによると利己的遺伝子という考え方があり、これは全ての生物が自らの遺伝子をコピーし持続させていくことを生の目的としていて、いってみればその身体は遺伝子の「乗り物」でしかない、というような話であるようです。本来はしっかりと内容を理解してから書かなければなりませんが、戦争にせよ旅にせよ、こうした生物学的発想と「違い」を求めることの関係についても考察してみたく思います。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2015年8月第週:8月15日0時~8月21日18時)
第1位
エミレーツ、パナマ線を2月に開設、世界最長のノンストップ便(15/08/18)

第2位
JAL・ANA、冬ダイヤの路線計画変更、羽田国内線減便も(15/08/19)

第3位
7月の旅行業倒産は2件、地元密着の旅行会社-負債は8700万円(15/08/15)

第4位
楽天トラベル、海外事業強化-「アジアNo.1」視野に(15/08/15)

第5位
ワールドストリームが破産開始決定、負債額17.2億円(15/08/19)

第6位
LCC、若年男性の利用率が大幅増、5割超に-JTB総研調査(15/08/20)

第7位
ハーンエアー、日本での認知度向上めざす-新サービスなど訴求(15/08/18)

第8位
JAL・ANA、お盆国際線は旅客6.4%増-国内線は3.1%増(15/08/17)

第9位
タイ、16年は消費額増へ、体験を訴求-バンコク爆発事件に懸念も(15/08/20)

第10位
LCC3社、お盆利用率は9割超え、新興はソラシドが好調(15/08/18)

第11位
ボーイング、B787の導入支援で全日空と提携、整備など協力(15/08/17)

第12位
エア・カナダ、関空線好調、来夏も運航-旅行会社の表彰実施(15/08/20)

第13位
JTB、6月の海外は10.7%減-団体旅行は前年超え(15/08/15)

第14位
風の旅行社、ピース・イン・ツアー買収、来年の合併視野に(15/08/18)

第15位
14年度の国内宿泊旅行は微増、満足度1位は沖縄-じゃらん調査(15/08/18)

第16位
JTBと小田急トラベル、共同で箱根プロモ-送客数回復に向け(15/08/18)

第17位
ドイツの人気観光地、15年1位はヨーロッパパーク(15/08/17)

第18位
デルタ、成田/NY線を機材繰りで減便、3月まで週6便に(15/08/20)

第19位
ユナイテッド、燃油サーチャージ一部値上げ、ミクロネシア線で(15/08/18)

第20位
ホテルオークラ、JALホテルズとの運営を一元化、名称変更も(15/08/20)