旅行業・観光業DX・IT化支援サービス

アクセスランキング、1位はJTB中間決算、大阪の第2種倒産も

[総評] 今週は、ジェイティービー(JTB)グループの2014年度中間決算をお伝えした記事が1位になりました。売上高は1.7%増の6783億円とさすがの規模で、海外旅行、国内旅行、国際旅行いずれも前年を上回ったそうです。海外、国内は団体旅行が牽引したとのことで、他の分野の回復が望まれますが、まずは法人需要のプラス成長に一安心というところでしょう。

 ただし、投資強化や仕入れ環境の悪化などにより営業利益は38.2%減、経常利益は20.0%減となっており、このうち仕入れ環境の悪化は、海外では円安の影響、国内は宿泊価格の高騰などが原因とのことです。

 海外については、中国など新興市場が購買力を増すとともに、日本の旅行業界の商習慣が敬遠されつつあることが以前から指摘されており、JTBの仕入れ環境がこの影響を受けている可能性もあるでしょう。考えてみれば、国内の仕入れ価格の上昇も訪日需要の増加にが一因とのことですので、同じ構図であるといえます。

 こうした環境の中、JTBでは買い取りや販売保証など他国市場に負けない取引形態を強化することで競争に臨む姿勢です。現在の状況での経営判断としては至極当然で、日本の最大手旅行会社として真っ向から勝負し、日本市場のプレゼンス低下を食い止めてほしいと願っています。

 一方、そのようなリスクを取りにくい旅行会社が多く存在することも事実です。旅行会社の苦境という意味では、3位に大阪府の第2種旅行会社が破産開始決定を受けた記事が入りました。負債総額は4億5000万円で、消費者の債権がどの程度なのかなど詳細は不明ですが、1987年の設立以来30年近く営業を続けた旅行会社が立ち行かなくなった事実に胸が痛みます。

 大阪では8月にも同じく第2種であったジェットホリディが3億8000万円の負債を抱えて破産開始決定を受けているところで、偶然なのでしょうけれども連関性があるのではないかと感じてしまいます。

 グローバルな旅行産業の構造変化の中で、JTBのような体力のない旅行会社は蛇に睨まれた蛙のように身をすくませているしかないのか、この点については、JTB代表取締役会長であり日本旅行業協会(JATA)会長でもある田川博己氏がどのようにお考えか、機会を見てお聞きしてみたいと思います。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2014年11月第3週:11月16日0時~11月21日18時)
第1位
JTB、14年度上期売上高は1.7%増-海外・国内で法人営業が牽引(14/11/17)

第2位
香港エクスプレス、12月就航の成田線を2月に増便、新路線も来夏目途に(14/11/18)

第3位
大阪第2種の日本国際旅行開発が破産開始、負債4.5億円(14/11/18)

第4位
トリップアドバイザー、日本での展開強化-訪日で行政と連携も(14/11/20)

第5位
インバウンドも「若い世代」にフォーカスを、ASEANの成長を取り込むために(14/11/18)

第6位
全日空、ホノルル線でサービス改善、「リゾート路線」演出(14/11/20)

第7位
ニューギニア航空、増便に意欲-片道経由便活用で短期ツアーも(14/11/17)

第8位
アジア太平洋の航空16社、収益向上や安全性など課題を討論(14/11/19)

第9位
地方発海外の活性化は「互恵」重要、訪日受入の基盤にも(14/11/20)

第10位
アシアナ、ソウルで交流イベント実施、市場回復・路線維持に向け(14/11/16)