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アクセスランキング、LCC参入効果1位、2位は高満足の新婚旅行先

[総評] 今週は、国土交通政策研究所が発表した国内の長距離移動におけるLCCの参入効果についての調査結果が1位になりました。需要動向についての分析を要約すると、LCCは新規需要を掘り起こしつつ既存のFSC路線や鉄道から顧客を奪いもしているということで、当然といえば当然の結果ですが、参入当初に喧伝された「カニバリゼーションによる市場の破壊ではなく、需要の創出」といった効果はさほど出ていないように感じます。

 また、所得別の利用者シェアもLCC、FSC、鉄道、高速バスでそう大きな違いがないことにも気付きます。FSCとLCCの差は最大でも3ポイント程度で、価格に敏感な層が爆発的に動いているとはまだ言えなさそうです。

 そもそも、LCCが成田や関空を拠点として参入している路線と、それに競合するFSCの羽田や伊丹発着の路線について旅客数を合計すると、2011年を100とした時に2013年は101でしかなく、確かにLCC参入路線のみでは100が242と大きく増えていますが、それをほぼ相殺するほどFSCへの需要が縮小したということです。

 LCCが参入していなくてもFSCの旅客減は起きていたとすれば需要は創出されていますが、そうすると旅行ないしは国内移動の総需要は本来減るはずであったということになり、観光業界としては別の問題に直面することになります。果たして図1のグラフが2014年以降どのような曲線を描くのか、是非ともそれぞれ上向くよう期待したいところです。

 次に、ランキング2位は楽天による満足度の高いハネムーンデスティネーションの調査の記事でした。調査は新婚旅行をした女性1000人から回答を集め、満足度が80点以上であった回答478件で集計したものだそうで、1位からハワイ、日本、イタリア、フランス、米国本土、オーストラリアといった順となりました。

 正直な感想としては驚きのある内容ではなく、個人的にはむしろ満足度の低かったデスティネーションを見てみたいところです。ハネムーンは旅行会社にとって重要な事業分野ですし、この調査でもおそらくそれなりの割合の回答者が旅行会社経由で旅行に出ていると思われますが、評価が80点を切った女性が何に不満を感じたのか気になります。

 不満足とは、何かしらの期待がありそれが裏切られて初めて生じるものと定義できるでしょう。クレームは宝の山とよくいわれますが、新婦がハネムーンに何を期待し、それが結果としてどのような怒りや悲しみ、失望に変わってしまったのか、ご本人の大切な旅行の時間が返ってくる訳ではないものの、できればこうした情報を業界全体で共有し改善に繋げられれば良いと思います。 (松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2014年11月第2週:11月9日0時~11月14日18時)
第1位
LCCで航空旅客増、鉄道から転化も-利用目的は観光、片道利用の割合高く(14/11/09)

第2位
満足度の高い新婚旅行先、1位はハワイ、2位は日本-楽天調査(14/11/09)

第3位
インドネシア、日本人渡航者のビザ要件緩和で検討開始、来年施行へ(14/11/09)

第4位
名鉄観光、15年重点強化送客地はASEAN7ヶ国-国内は関西と甲信越(14/11/10)

第5位
着地型観光、テーマで「編集」を-地域全体での連携重視(14/11/11)

第6位
訪日2000万人、オールジャパンで取組を-ガイドの質向上も(14/11/13)

第7位
10月の旅行業倒産、1件増の4件-負債総額は減少(14/11/11)

第8位
山形の岡崎屋旅館が破産開始、釧路キャッスルホテルは民事再生法申請(14/11/09)

第9位
JATA、エリア・スペシャリスト新設、D/S再編で-1500名目標(14/11/12)

第10位
エクスペディア、モバイル強化、多端末統合で「旅行の未来」へ(14/11/13)