香港・マカオ、セミナー共催、需要回復に向けタッグ

  • 2014年9月10日

(右から)HKTBの堀氏、CX日本支社営業本部長のニック・ヘイズ氏、マカオ観光局の府川氏 香港政府観光局(HKTB)とマカオ観光局、キャセイパシフィック航空(CX)は9月10日、東京で旅行業界向けセミナーを共催した。冒頭、HKTB日本局長の堀和典氏は、近接する香港とマカオ、そして同エリアへの座席供給量が最大であるCXが協力することは「必然」と挨拶。また、マカオ観光局日本地区マーケティングリプレゼンタティブの府川尚弘氏も、両地域を訪れる日本人旅行者のうち宿泊を伴う旅行者の割合などを示し、補完関係にあることを指摘した。

 HKTBのプレゼンテーションでは、7月までの累計日本人旅行者数が前年比4.4%増の61万2519人となり、順調に推移していると報告。ただし、2012年の水準にはまだ届いていないといい、今後はターゲットを絞り込んでプロモーションを展開していく計画を改めて説明した。

 一方、マカオ側では、2013年の日本人旅行者数が26.6%減の29万622人となり、過去最高を記録した2010年の41万3507人と比較すると10万人以上の減少と苦戦。日中関係が冷え込む中で本局から活動を控えるよう指示された期間もあったといい、今後はまず無理な回復を望むのではなく、2013年を「応急処置」、2014年を「治療」、2015年を「リハビリ」の時期と位置付け、2016年の復活を目標に掲げる。

 現在、HKTBは30代から40代の旅慣れた女性をターゲットとして、特に食事の魅力を強く訴えるプロモーションをテレビや雑誌、オンライン、ソーシャルメディアを利用して展開しているところ。EXILEの観光親善大使としての起用も継続し、消費者に積極的にアピールしていく計画だ。

 また、マカオも、「もう一度デスティネーションとして思い出していただく」ことを目的に、広告を全面に施したトラック「アドトラック」を東京の銀座や丸ノ内、渋谷で運行。また、新宿でも循環バスへのラッピング広告を展開し、さらに地下鉄ではエイチ・アイ・エス(HIS)と共同で車内モニターで広告映像を放映している。

 このほか、セミナーでは2016年に香港/マカオ間が橋で繋がり、陸路での移動が可能になること、2017年には広州への鉄路が整備されることなども紹介。府川氏は特に香港/マカオ間の橋について、旅行会社の商品展開にとっても「これからの2年間は転換期」となると強調した。

 なお、こうしたインフラ整備は両地域でも様々なプロジェクトが進められており、例えば香港では無料WiFiが5000ヶ所で利用できるようになるなど充実。一方、マカオではLRT(ライトレールトランジット)が2017年頃までを目処に整備される予定であるほか、客室不足が指摘されるホテルも、2015年以降に3ツ星以上のみでも33施設、2万室以上が新設され、合計客室数が5万室を超えるという。