韓国、日本での露出強化、国交正常化50周年に向け盛り返し期待

  • 2014年3月24日

ビジネスミーティングで挨拶を述べたKTO日本チーム部長の鄭辰洙氏 韓国観光公社(KTO)日本チーム部長の鄭辰洙氏は、今年の日本での宣伝活動に前年の3割増しの予算を予定し、メディアでの露出を高めていく方針を示した。KTOと日本旅行業協会(JATA)が訪韓日本人300万人をめざすプロジェクトの一環として実施した、企画実務者の視察ツアー&ビジネスミーティングで、業界誌のインタビューに応えたもの。

 鄭氏によると、訪韓日本人数は2014年3月現在で前年比12%減と減少を続けており、「ものすごく厳しい状況にある。300万人の達成は大変な努力が必要だが、KTOではそのための全面的なサポートをする覚悟でいる」と意思を強調。そのための各施策を計画しているが、中でも日本での韓国のメディア露出が減少している状況に「(韓国の)話題がなくなってしまうことが怖い」と危機感を示し、「現在の(観光の)危機を乗り越えるためにも一般消費者に対するメディア露出を高めていく」との考えだ。

 すでにテレビでは大手放送局との紀行番組を予定しているほか、旅行に留まらず韓国に関する放送の増加に取り組む。このほか、K-POPなどと韓国を紹介する本の出版なども計画。旅行会社とのオンラインキャンペーンや消費者を巻き込んだSNSキャンペーンも予定している。9月のツーリズムEXPOジャパンでも韓国として40ブース以上を出展し、新しい韓国の魅力やイメージ、観光素材を発信する。

 このほか、最も影響を受けているという団体インセンティブにも力を入れる。現在の状況について鄭氏は、日米韓首脳会談の開催が見込まれているほか、来年には日韓国交正常化50周年を控えており、「難しい問題はあるが、下半期ごろから改善する」と見込み、インセンティブの特典対象を拡大する方針。また、団体担当者向けのFAMツアーも予定するなど、復活に向けた積極的な取り組みを行なう。

 さらに、JATAと6月と10月には日本と韓国双方で、相互交流700万人をテーマにしたシンポジウムの開催も決定しており、双方で100人ずつ送客する。これに加えて、セミナーや勉強会など日本の旅行業界とのコミュニケーションの機会を増やしていく方針だ。


▽直近は若い女性、中・長期的にはテーマ性ある質の高い商品造成

K-POPのホログラムコンサート会場「Klive」 日本市場でのマーケティングについては、女性層と団塊・シニア世代の2つをターゲットに展開。まずは政治関係にこだわらない女性層には、1月にオープンしたK-POPスターのホログラムコンサートが見られる公演会場「klive」や、2020年東京五輪メインスタジアムの設計者ザハ・ハディド氏がデザインし、3月21日にオープンした「DDP(東大門デザインプラザ)」などの新素材や、女性に人気の高いマッコリで食と美容をテーマにしたユニークな体験などを紹介し、足元の需要の着実な取り込みをはかる。

DDP(東大門デザインプラザ)は東京五輪との関連性で世代を問わず注目の素材となりえる 一方、団塊・シニア世代には世界遺産などを中心とする歴史と文化をテーマとした新しいタイプの旅行を訴求していく。地方への誘客も強め、今年は初めて地方自治体との協力によるシャトルバスを安東に運行。今後も協力する自治体を広げていく。「現在の日本人のツアーは2泊3日のソウル滞在が多い。これに地方を加えることで滞在日数を増やしたい」とも語り、人数の回復とともに韓国ツアーの質の向上にもつなげる考えだ。