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スペシャリスト・インタビュー<DS>:Uno Musicツアーズ 佐野光子さん

専門性を生かした企画で音楽や文化の魅力をアピール

 イタリアとキューバ。いずれも個性の強いデスティネーションを専門に扱うUno Musicツアーズに勤務する佐野さんは、ご主人の転勤を機にミラノに5年住んだ経験を持つイタリア通。定番のツアーでは飽き足らない、目の肥えたお客様のリクエストに対応してツアーのプランを立てたり、現地手配をおこなったり、豊富な知識を基にきめ細かな旅のアドバイスを行っています。デスティネーション・スペシャリストの資格を取ったのは、ネットで見つけてチャレンジしてみようと思ったのがきっかけとのこと。今回は食の楽しみから文化の違いまで、暮らしてみて実感したイタリアの魅力を中心に、幅広いお話をお聞きしました。
                             
                             
Uno Musicツアーズ トラベルプランナー 佐野光子さん
2010年度(第6回)デスティネーション・スペシャリスト イタリア・マルタ認定



Q.まず御社の特徴について教えていただけますか

 親会社である株式会社Uno Musicは、キューバをはじめラテン諸国のサルサ・ミュージシャンの招聘やコンサートの企画をはじめ、日本のアーティストのプロデュース、サルサに関するライブやスクールなどの情報を掲載した月刊フリーペーパー「SALSA120%」の発行など、サルサにまつわる音楽業務全般を手掛けています。Uno Musicツアーズは2年ほど前に開設したばかりのまだ経験の浅い旅行会社なのですが、キューバに関しては頻繁に行き来がありますし、長年培った文化交流の蓄積を生かして音楽や文化をテーマにしたツアーや個人手配などを行っています。


Q.取り扱い方面はキューバとイタリアのみなのでしょうか

 他の一般的なエリアも扱ってはいますが、やはりお客様からのリクエストにきめ細かに対応したり、オーダーメイドの旅が提案できる方面としては、その2ヶ所になります。小さな会社なので、特色を出すという点ではよいのではないかと思っています。


Q.おすすめのツアーを教えてください

 イタリアでいうと、現在販売しているもので、ワインとグルメをテーマにした「リストランテ アクアパッツァの日高シェフと行くシチリア至福の7日間」というのがあります。これは、かつて日高良実シェフが修行したエオリエ諸島のレストランでの食事やワイナリー見学など盛りだくさんな内容なのですが、当社ならではの特色である音楽の要素も入れようということで、パレルモ滞在中にマッシモ劇場でのバレエ「シンデレラ」の鑑賞もお楽しみいただけるようになっています。

 また、イタリアでは農家が営む宿泊施設に泊まるアグリツーリズモも人気があります。自然に囲まれたよい空気のなかで、地元の食材を使った料理を味わったり、言葉は通じなくても農家のご家族との触れ合いを通じてアットホームな雰囲気を体験していただけます。こういうのも楽しい思い出になるのではないでしょうか。


Q.お客様に伝えたいイタリアの魅力はどんなところでしょう

 イタリアは歴史や文化、ショッピングも魅力なのですが、やはりお食事ははずせません。ミラノ在住のとき、日本からのツアー客の多くがレストラン選びに苦労されていたり、ツアーに組み込まれているレストランではあまり満足されていなかったのを知り、とても残念に思っていました。ただ、通常レストランは予約をしていく方がよいですし、時間帯があわなかったり、英語を話す店員がいないことが多かったり、また英語のメニューがないことも少なくないなど、個人で行くには難しい点があるのは確かです。本当の美味しいイタリア料理を食べるチャンスをぜひお手伝いして差し上げたいですね。

 また、ワイナリー訪問もリクエストが多いのですが、イタリアのワイナリーの人はどこも「自分のワインが一番」と思っていますから、見学は歓迎というところも多いです。おしゃべりな人が多いので、ワインの魅力について熱く語ってくれますよ。こんな風に現地の人と触れ合えるのも魅力ではないでしょうか。お客様のなかには、特定のワイナリー訪問を希望される方もいます。ワイナリーは通常郊外にありますから、車や通訳を別途手配するのですが、戻ってきてから「夢がかなった」といわれると、こちらも嬉しいです。


Q.お客様の傾向について教えてください

 当社のお客様は、30代から60代が中心で、本物が分かる大人の方が多いです。イタリアに関しては何度か訪問経験があり、ローマ、ミラノ、ベニス、フィレンツェといった定番を巡るツアーではなく、違うところに行きたいという方も少なくありません。キューバについては、本場の音楽を聞きたい、人気のサルサダンスのレッスンを受けたいという若い方はもちろんですが、こちらも年齢の高い方も多く、イタリアの客層とは案外共通点がありますね。当社では「六本木はじめてのサルサ巡り」というワンナイトツアーなども実施しているのですが、こちらも年配の方にも好評ですし、サルサのコンサートでは、最前列でノリノリに踊っている熟年の方も少なくありません。サルサ・ミュージックの愛好家はかなり年齢層の幅が広いです。


Q.イタリアに住んでいたときのエピソードをお聞かせください

 住んでみて実感したのは、イタリアは大人中心の社会で、文化の主役も常に大人だということ。大人が夜楽しめるエンターテインメントが多くあり、みんなお洒落をして出かけます。観劇、コンサート、映画などだいたい夜8時30分過ぎから始まります。また、女性、特に年配の女性をとても大切にしますし、みんなお洒落で身だしなみには常に気を遣っています。例えば家からゴミを捨てに行くにもお化粧はもちろんですが、ネックレスをつけたり、ヒールのある靴を履いて出るくらいです。車椅子に乗ったおばあちゃんも真っ赤なマニキュアをしていたり、幾つになっても身だしなみはきちんとしています。見習わなければ、と思いましたね。

 街を歩いていると5分に1回くらいは老若男女を問わず、素敵な人に出会えます。日本だと人と会うとまず天気の話をすることが多いですが、イタリアでは着ている洋服やアクセサリーの話題なんですね。それだけに、みんな人に見られることを意識してお洒落を心掛けています。だからといって、これは決して高いものを着るということではないんです。

 また、住んでいた家がサッカー・セリエAのACミランのホームスタジアムのすぐ近くで、試合がある日は観客の歓声で窓が揺れるほどでした。どうせならスタンドで見たほうがいいということで年間シートを購入し、家族でよく観戦に行きました。イタリアに住んでいるとサッカーはごく身近な存在になります。


Q.今後手掛けていきたいツアーはどんなものですか

 オーダーメイドの旅にもっと力を入れていきたいですね。あと、こだわりの音楽ツアーやアーティストと一緒に行くツアーというのも良いですね。今後、2014年はブラジルでワールドカップが開催されるので、ラテンブームがくるのではと期待しています。


ありがとうございました