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てるみくらぶが破産、負債151億円、8万人超

  • 2017年3月28日

国土交通省で開催した記者会見。多くの報道陣がつめかけた  てるみくらぶは3月27日、東京地方裁判所に破産を申請し、破産手続きの開始決定を受けたと発表した。負債総額は約151億円で、内訳は消費者が99億円、国際航空運送協会(IATA)のBSPデフォルト(債務不履行)が4億円、ホテルやランドオペレーターなどの関連業者約95社が14億円、金融機関が32億円となる見込み。同社によれば、消費者については申込件数で約3万6000件、人数で8万人から9万人に影響が出るという。東京商工リサーチによれば旅行業界では4番目に大きな倒産で、リーマンショック後では最大規模となる。

 てるみくらぶは1998年12月に創立し、99年2月には第1種旅行業登録を取得。主にインターネットでハワイやグアム、韓国、欧州などへの格安パッケージツアーを販売してきた。27日に国土交通省内で開催した記者会見で代表取締役の山田千賀子氏は、消費者や関係各社に謝罪した上で、倒産の経緯を説明。当初は航空会社の新規就航や機材の大型化による余剰座席を安く仕入れてツアーを販売するビジネスモデルで拡大し、「通常は出ない座席が出た時、航空会社に一番に声をかけてもらえる旅行会社として伸びてきた」という。

 しかし近年については、航空会社の機材の小型化や、直販化などによりプレゼンスが低下。「チャーター利用ツアーなどさまざまな取り組みを進め、大手と同じ高い金額でも仕入れるようになったことで、(収益が)悪化した」と説明。15年からは新聞広告も活用し、シニアをターゲットにするなどビジネスモデルの転換をはかったが、広告費などがかさんだことで経営状況がさらに悪化したという。なお、14年にはツアーの代理販売店による加盟店組織を立ち上げるなどBtoB事業も強化したが、16年には取り組みを終えている。

 その後も資金繰りが厳しい状態が続き、3月23日のIATAのBSP債務の支払いについては銀行やスポンサーなどに資金調達を試みたが、条件が折り合わず、22日には資金調達ができないことが発覚。23日のデフォルトにより航空券が発券できなくなったこと、その後も宿泊施設やランドオペレーターに対する未払金の支払いのめどが立たなかったことで、破産手続きに至ったという。

てるみくらぶの山田氏  山田氏は、てるみくらぶで予約した旅行を予定している消費者に対しては「出発しても現地で宿泊できない、追加料金を請求されるなどのトラブルが見込まれる」と説明。8割を自社で、2割を他の旅行会社経由で発券していた航空券については「発券済みの航空券は搭乗できるが、念のため各航空会社に確認して欲しい」と話した。

 同社はすでにその旨を予約者にメールなどで連絡し、自己判断の上で出発するよう呼びかけているが、山田氏はこの日の会見では、安全確保の観点から「会社側の勝手なお願いで申し訳ないが、まずは渡航を控えていただきたい」と呼びかけた。同社の代理人弁護士によれば、てるみくらぶを利用して海外に滞在している旅行者は3月23日の時点で約3000名。深刻なトラブルの報告は挙がってきていないという。

 消費者への旅行代金の返金については、同社が加盟する日本旅行業協会(JATA)の弁済業務保証金制度を利用する予定。弁済限度額は1億2000万円で、弁済される比率はわずか1.2%程度となる。

 なお、東京商工リサーチによれば、てるみくらぶの親会社にあたる「てるみくらぶホールディングス」と、同ホールディングスの子会社にあたる第1種旅行業の自由自在については、破産申請などはしていない。ただし、自由自在もてるみくらぶと同様に、3月27日付で営業を停止している。

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