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ツアーGP、大臣賞は阪急交通社、欧州のマイナー観光地を提案

  • 2016年9月26日

表彰式後の記念撮影  日本旅行業協会(JATA)は9月24日、「ツーリズムEXPOジャパン2016」の会場で「ツアーグランプリ2016」の表彰式を開催した。旅行会社の企画力やマーケティング力の向上などに向けて、海外・国内・訪日旅行の優れた企画旅行商品を表彰するもので、23回目の今年は15年7月から今年6月末までに催行された商品124点がエントリー。独創性や集客力などを審査した結果、大賞の「国土交通大臣賞」には阪急交通社の「美しきアルザス地方・ドイツ黒い森と花々の楽園マイナウ島・ルクセンブルク8日間」を選出した。

(左から)阪急交通社の黒田氏とプレゼンテーターを務めた観光庁長官の田村明比古氏 同商品は8日間でフランス東部のアルザス地方、ドイツ南部のシュヴァルツヴァルト、同国南部のボーデン湖のマイナウ島、小国のルクセンブルクを周遊するもの。欧州旅行の需要が低迷するなか、リピーターに向けてあえて知名度の低い観光地を提案し、「特別感」を演出したことを評価した。表彰式で登壇した同社東日本営業部メディア営業二部の黒田亮氏は、「王道ではない観光地がリピーターに受け入れられて光栄」と語った。

 観光庁長官賞については、海外旅行部門ではクラブツーリズムの「中国・張掖丹霞地貌絶景ハイキング旅5日間」を選出。目的を「絶景ハイキング」に絞り、参加しやすい日程に収めることで、デスティネーションの魅力や参加しやすさ、価格などのバランスを取った点を評価した。国内・訪日旅行部門はワールド航空サービスの「日本旅百景」で、「残したい日本の風景や文化」などに焦点を当て、知名度は低くとも魅力ある小さな町をおとずれることで、海外旅行に行きにくくなった高齢者を国内旅行に取り込んだ点を評価した。

丸尾氏 「ツアーグランプリ2016」実行委員会委員長を務めたJATA副会長の丸尾和明氏は挨拶で、応募件数が前年に比べて1割増加し、特に海外旅行については2割増加したことを報告。「回復に向けた業界の意志の現れ」と評価した。また、海外旅行に強みを持つワールド航空サービスが国内旅行商品で観光庁長官賞を受賞するなど、新たな動きが見られたことについても期待。「新しい価値を創造することがリアルエージェントの価値」と強調し、各社に奮起を呼びかけた。

佐藤氏  今回の応募商品の傾向について解説した松本大学名誉教授の佐藤博康氏は、国土交通大臣賞の受賞商品などを例に挙げ、「『テロや紛争に負けない』『業界ができることは何か』といった、メッセージ性の滲むものが多く見られた」とコメント。丸尾氏と同様にワールド航空サービスの「日本旅百景」に言及し、「地方の小さな祭りなどで集客の実績を挙げた。外から見たアイデアが生かされている」と評価した。受賞商品は下記の通り。

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