新春トップインタビュー:日本旅行業協会会長 田川博己氏

旅行業の基盤を見直し、仕掛ける1年に
リスク対策はコストでなく「投資」

  • 2017年1月12日(木)

 2016年、通年の出国者数はほぼ確実に2012年以来のプラス成長を遂げる見込みだが、主要リアルエージェントの海外旅行取扱額は減少を続けた。一方、インバウンドは驚異的な成長が持続。旅行を生業とする我々の未来には、どのような光景が広がっているのか。日本旅行業協会(JATA)会長であり旅行業界の「顔」ともいえる田川博己氏に、今後の展望と2017年のJATAの運営方針を聞いた。


―16年の振り返りをお聞かせください

田川博己氏(以下、敬称略) 海外旅行は出国者数の5%程度の需要の伸びが続いている。燃油サーチャージの撤廃やLCCの普及が追い風になったのではないか。LCCについては、まだ数字がしっかりと分からないが日本人の「LCC化率」が高まっているのだろう。また、為替なども影響していると思う。

 いずれにしても、ずっと停滞していた海外旅行が回復に転じたのは大きい。ただし、JATA会員の業績に目を向けると、大手を中心に良くないというのが現実だ。

 一方、国内は15年の北陸新幹線の開業が非常にインパクト大であったため、その反動で昨年1~9月の宿泊者累計は95%程度で推移している。北海道新幹線は北陸に比べて需要への効果が限定的だった。

 熊本地震も影響を受けた。ただし、政府が「ふっこう割」を即決し、我々も東日本大震災以降の経験を活かすことで「ツーリズムで交流人口を増やして復興させる」という道筋を素早く示せたのではないか。次の一手をどうするかは問題だが、そういった意味では非常に大きな成果であり、ツーリズムに関係する人間として非常にありがたいと感じる。

 もう1つ、昨年の話で避けて通れないのが軽井沢のバス事故だ。安全安心というのはすべてのツーリズムの基本原則。すでに「貸切バスツアー適正取引推進委員会」が設置され、当事者同士で自制していく形が設けられているところで、全国旅行業協会(ANTA)と日本バス協会(NBA)とともに消費者の信頼を復活させることが重要だと考えている。

 そして、訪日は我々が想定していた以上の状況で、熊本地震などがあったなかで2400万人を超えようかという状況は、ある意味では日本のインバウンドが一過性ではなくしっかりとしたものになってきた証ではないか。


―17年の展望はいかがでしょうか

田川 海外旅行については、16年にはオリンピックがあったが17年は何もない。18年は平昌の冬季オリンピックがあるため空白ができる。17年の大きな節目として強いて挙げるとしたら中国の国交正常化45周年くらい。

 したがって、17年は、19年、20年に向けてしっかりと腰を下ろし、足元を見つめ直す年にすべきだ。とはいえ何もしないというわけではなく、外部からの仕掛けがないのであれば、自ら仕掛ける年にもしなければならない。キーワードは「海外旅行の仕掛け」と「足元を見直す」だ。

 仕掛けについては、海外旅行に限らず旅行会社の本質はマーケットがなかった時代に一所懸命にプロデューサー的に企画を考えて提案し、お客様の移動時には最高の斡旋力でもてなし、そしてそれに添乗員がついていくといった部分だ。FIT化が進んでいるが、テロや天変地異などの問題もある中で、斡旋力や添乗員の力にもう一度光を当ててみる必要があるのではないか。

 こうした力は大手であろうと中小であろうと関係ない。すべての旅行会社にチャンスが到来する。数の論理もないわけではないが、多様性のマーケティングであり、知恵の出し合いだと思う。もちろん、知恵は別に旅行会社だけが持っているものではない。いろんな業種、業態がそれぞれ持っているものをどうやってまとめていくかということだ。

 また、足元という意味では、新たに施行された障害者差別解消法などを含めたコンプライアンスが重要になる。

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