インタビュー:日本旅行代表取締役社長の堀坂明弘氏

中核分野で「オンリーワン」へ
「リアルエージェント」として店舗も重視

 西日本旅客鉄道(JR西日本)の連結子会社であり、今年で創業111周年を迎えた日本旅行。2013年度から16年度までの中期経営計画「ACTIVE 2016」において、訪日旅行、MICE、BTM、教育旅行、インターネットを「中核分野」として取り組みを強化している。今年6月にJR西日本から日本旅行代表取締役社長に就任した堀坂明弘氏に、同計画の進捗や次期中期経営計画の方針などについて聞いた。


-中期経営計画の達成状況をお教えください

堀坂明弘氏(以下、敬称略) 中計で定めた数値目標はおおむね射程距離に入っているが、最終年度の今年はさらに努力が必要な厳しい状況にある。就任以来、欧州を中心とする複数のテロ事件や、英国のEU離脱決定など世界情勢にさまざまな変化があり、海外旅行を中心に我々の業績に大きな打撃を与えた。しかし、海外旅行の低迷はこれまでも続いており、より状況が悪化したわけではない。前向きに頑張るとともに、収支両面で目標を達成して次期中計につなげようと、全社一丸となって追い込みをかけているところだ。

 海外企画商品は欧州の落ち込みが響いている。取扱人数は東南アジアを中心に回復基調にあるが、欧州と東南アジアは商品の単価に差があるので、収益の落ち込みがカバーできていない。国内企画商品の収益も九州地震などの影響で売上目標に到達していない。訪日旅行は堅調だが、収益の伸びは鈍化している。FITなどが増え、旅行会社を利用する旅行者が減っているのではないか。

 中計では、ビジネスモデルの転換のため5つの中核分野に取り組み、4年間で他社と比べても遜色ない力をつけた。既存の収益基盤である海外企画商品の目標達成は厳しいかもしれないが、中核分野などの収益を伸ばし、トータルで目標を達成するという構図にしたい。