インタビュー:沖縄観光コンベンションビューロー会長の平良氏

1500万人へ向け「オール沖縄」で
人材育成など観光の地位向上に意欲

OCVB会長の平良朝敬氏

 日本観光振興協会(日観振)と日本旅行業協会(JATA)による第2回「ジャパン・ツーリズム・アワード」で、沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の「沖縄県めんそ~れ~沖縄観光学習教材」が国内・訪日領域の優秀賞を受賞した。これは小学4年生が沖縄の歴史や文化、自然とともに観光について学べる教材で、OCVBは講師を無料派遣して出前授業などもおこなっている。表彰式に参加したOCVB会長の平良朝敬氏に、日本屈指の観光デスティネーションの育て方や誘客戦略、民泊問題への対応、旅行会社の役割などについて考えを聞いた。


-ジャパン・ツーリズム・アワードを受賞されました

OCVB会長の平良朝敬氏(以下、敬称略) 大変うれしい。教材は2006年度からの10年間で21万7000冊が発行されてきているが、まずはこれを作り、持続してこられた皆様に感謝申し上げたい。

 観光においては、地域の方々のご理解があって初めておもてなしができる。小学校時代からこういったことを学ぶということは、大人になってからのおもてなしに関わってくる。まさしく「沖縄県めんそ~れ」であり、今後も持続、発展させていきたい。


-昨年6月にご就任されましたが、約1年間の振り返りをお聞かせください

平良 2014年度の入域観光客数は717万人で、訪日客はそのうち99万人だった。そして私が就任した15年度には全体で794万人、訪日は167万人と驚異的な伸びを達成している。

 日本全体としても20年に4000万人、30年に6000万人という目標を掲げている、そういった時代の最中にこの伸びが実現しているのは大変喜ばしく、その時期に会長を務められていることもありがたい。


-今後の見通しや課題は

平良 これまで沖縄の観光は、95%が本土からのお客様だったが今後はますます海外からのお客様が増えていくだろう。その割合は、14年度に5%程度であったところが15年度には21%となっており、最終的には50%近くになると思う。

 国際化が進むなかで、喫緊の課題となっているのは人材育成だ。永遠の課題でもあるが、30年度の入域観光客数の目標値として合計1523万人、うち700万人を訪日客としているところで、さらに人材育成や受入体制が課題になっていく。


-人材確保は沖縄に限らず、観光産業全体の問題ですが、どのような対策が必要でしょうか

平良 観光業は「3K」に近い難儀な仕事というイメージを持たれてしまっている。観光産業で働くことにどれだけ誇りを持てるかといったことを、広報活動などを通してやっていきたい。その意味でも、教材がきっと効いてくる。所得を含めて、沖縄は将来こうなるという明るい姿を見せながら地道にやっていく。

 また、人材確保の観点では外国人の活用にも取り組む。沖縄の人口は140万人強であり、それで1000万人をお迎えするのは不可能だ。海外の方々に働いていただくことで、その国のお客様がより過ごしやすいようにもなる。

 なお、人材育成はOCVBとしても課題で、せっかく様々な仕事を経験してノウハウを蓄積しても退職とともに逸失してしまう。意欲のある人間の起業を支援したり、残すべき人間に働き続けてもらったりするなどしてノウハウを活用していきたい。