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スペシャリスト・インタビュー<DS>:三進トラベルサービス 金英周さん

プロならではの情報力でリピーターの心をつかむ

 韓国専門旅行会社の三進トラベルサービスに入社して3年目という金さんは、韓国済州島のご出身。地元のホテルに勤務していたころ、大勢の日本人観光客との出会いに触発され、今から10年前、日本語を学ぶために来日しました。旅行会社の仕事は思っていた以上に大変だったといいますが、お金と時間を費やして旅に出かけるお客様のために、きめ細かな接客を心掛けているそうです。今回は、韓国を訪れる日本人旅行者の動向やおすすめの穴場スポットなど、幅広いお話を伺いました。

三進トラベルサービス営業主任 金英周(キムヨンジュ)さん
2010年度(第6回)デスティネーション・スペシャリスト 韓国認定

                            
                              
Q.韓国のDSを受けられたご感想は

 正直なところ、案外難しかったですね。特に韓国の地名を日本語のカタカナで表記する場合、1文字でも間違えると不正解になります。また、逆に韓国人だから韓国のことを知らないという点もあります。当たり前のように考えていたことを、改めて聞かれると分からない場合もありましたね。


Q.日頃はどんな業務をされているのですか

 韓国を専門に扱っていることもあり、通常のパッケージではなく、多少割高になっても自分なりの旅を求めるお客様がかなりいらっしゃいます。ご要望を聞いて日程を組み、お客様からOKが出ればすぐに手配を行います。小規模な会社なので、旅行のプランニングから実際の手配、ツアーの添乗、ホームページのアップデートまで、それぞれが幅広い業務を担当しています。


Q.お客様の最近の傾向について教えてください

 当社のお客様は、比較的年配の女性の方が多いですね。リピーターの割合は7、8割を占めており、そこから口コミで新しいお客様が増えるケースが少なくありません。ご出発までに何回も電話をかけてくる方が多く、電話での対応が中心となっています。韓国といえども外国ですから、不安な点があればどんどん電話をかけてくださいとご案内しています。これも大手にはない当社ならではの持ち味だと思っています。また、2、3年前まではソウル滞在が9割近くを占めていましたが、最近ではソウルのみの方は6、7割くらいで、ソウルにプラスして地方に足を延ばす方が増えてきました。平均日数はソウルだけだと2泊3日が中心ですが、地方へ行く場合は3泊4日のパターンが多いです。


Q.どんなところへ足を延ばす方が多いですか

 以前は地方というと慶州、釜山、済州が主流だったのですが、最近では安東、全州、木浦などを訪れる人も増えています。安東には韓国の昔ながらの生活様式がそのまま残る村があり、韓流スターの実家があることからも訪れる人が増えています。全州は韓国の中でも有数のグルメスポットとして知られており、美味しいものを求めて行かれる方が多いですね。また、木浦は海岸に位置する町で新鮮なシーフードの宝庫です。日本に比べてかなり割安に食べられるのが魅力で、ソウルからは高速列車KTXで便利にアクセスできます。


Q.列車の旅について教えてください

 KTXに乗ってみたいというリクエストは、かなりあります。また、豪華寝台列車ヘラン号はテレビで何度も紹介されたこともあり、情報が欲しいという方が多いですね。このほかにもソウルを出発してワインの産地へ向い、ワイナリーを見学したり、試飲もできるワイン列車などユニークなものもあります。


Q.近ごろの韓流ブームの影響はどうでしょうか

 かつてはロケ地ツアーなど熟年の女性層が中心でしたが、一時の熱狂的なブームがひと段落して、最近ではかえって若い人にまで客層が広がってきた感じがします。当社でもコンサートやミュージカルなどのチケット手配を行っていますが、さまざまな年代の方から依頼の電話がかかってきています。ご連絡をいただいた時点で空席状況を調べ、すぐにご連絡するなど、できるだけよい席で見ていただけるように迅速な対応を心掛けています。


Q.韓国の穴場的なおすすめスポットを教えてください

 おすすめしたいのは潭陽(タミャン)です。ここは景勝地として有名で、映画の撮影にもよく使われている場所です。日本ではほとんど知られていませんが、ツアーでここを組み込むと、お客様からは毎回とてもよかったという感想をいただきます。また、浦項(ポハン)もおすすめです。ここは韓国では自動車工場や造船所といった産業施設が集まる工業都市として有名なのですが、最近では観光に力を入れており、新鮮な海産物が集まる竹島市場や日本人家屋などの見どころがあります。

 一方、ソウルでおすすめなのが江南です。江南は高級なイメージがありますが、昔ながらの庶民的な商店街もあり、そこは来年リニューアルオープンする予定です。また、ソウルにはさまざまな市場がありますが、下町の姿がそのまま残っている広蔵(クァンジャン)市場が面白いのではないでしょうか。


Q.最近は情報通のお客様も多いなか、最新情報はどのように入手されていますか

  インターネットでさまざまな情報が得られる時代ですが、それでも韓国専門旅行会社として、お客様にご案内できる情報はたくさんあると考えています。例えば、ネットで調べて「このホテルに泊まりたい」というお客様に対して、私どもは実際にそのホテルに泊まった知識を活かして「立地は良いのですが、大きな道路に面しているので、部屋によっては騒音が気になるかもしれません」といった具体的なアドバイスもできるわけです。

 一方でお客様は、こちらは専門家なので何でも知っているという前提でお話をされます。最新情報については現地に住む家族や友人などに聞いてみたり、毎朝必ずネットで韓国の新聞に目を通すようにしています。


Q.休日はどのように過ごされますか

 お休みの日は映画を見たり、音楽を聴いたり、ゆったり過ごすことが多いです。最近では「アバター」を何回も見ました。やはり深刻な映画ではなく、アクション満載のハリウッド映画を見るのが一番のストレス発散になりますね。


ありがとうございました