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スペシャリスト・インタビュー<DS>:旅人舎 杉江真理子さん

接客にDS活かし、東欧の魅力をアピール

 新宿の西口から徒歩2分のビルに本社を構える旅人舎。そこを訪れる旅行者も、その旅行者に対応するスタッフも、“ひと癖ある旅行好き”というのが共通点です。一般的な旅行会社と異なっているのは、ホームページのトップ画面を見れば一目瞭然。インドやスリランカの専用ページがあったり、秘境ツアーを扱う部門があったり、中国やアジア方面の格安航空券を販売していたり。そうかと思えばヨーロッパのオーソドックスなツアーにも対応しています。杉江さんはそんな同社でヨーロッパ、とりわけ東欧を得意とするスタッフ。東欧と深い関わりをもって歩んできた業務歴もさることながら、DSはずばり販促のために取得したという杉江さんに、これから「くる!」という東欧の魅力を伺いました。

旅人舎 杉江 真理子さん
2009年度(第4期)オーストリア政府観光局認定 オーストリア・旅のスペシャリスト
2010年度(第6回)デスティネーション・スペシャリスト ドイツ認定
2010年度(第6回)デスティネーション・スペシャリスト チェコ・ハンガリー認定

                             
                       
Q.そもそも旅行業界に入られたきっかけは

 大学院生だった頃、アルバイトで添乗員をしていました。そのままずるずる旅行業界に入り、今に至るというわけです(笑)。最初こそ国内の添乗をしていましたが、そのうち海外へも出るようになりました。ドイツやオーストリア、チェコ、ハンガリーなどに行っていましたが、今と違ってビザが必要だったので、一度ビザを取った添乗員が何度も同じ場所へ行くことは珍しいことではなかったんです。1ヶ月に一度は行くので、現地のガイドやツアーオペレーターのスタッフと仲良くなりましたよ。


Q.その後、東欧へ行かれたとか

 現地のツアーオペレーターがガイドを探していたので、プラハで3年間ガイドをしました。その後の約半年はドイツでドイツ語を学びました。東欧の場合、やはりドイツ語を勉強しておくと強いですから。ドイツの後はウィーンでランドオペレーターをしていました。

 添乗員をしていた頃やプラハでガイドをしていた頃、東欧、特にチェコはパッケージツアーの団体がひっきりなしに来ていました。航空会社もチャーターをバンバン飛ばしていましたね。こういうデスティネーションは、ビザが不要になり、個人で行きやすくなると、客層が団体からFITへ移行していくのですが、私はそうしたFITの旅行者に興味があり、ウィーンでは主に個人のお客様の対応をしました。世代はいろいろでしたが、共通しているのは海外旅行が初めてではないということ。そしてある程度言葉ができたり、明確な興味をお持ちだったり、度胸があったり、というタイプの人が多かったです。質問が多い人ほどトラブルが少ない、というのも共通していましたね。

 その後は事情があって日本へ帰国しましたが、2年経った後、もう一度ヨーロッパへ戻るつもりでした。今度はクロアチアへ行きたかったんです。これから絶対伸びるデスティネーションとふんだからなのですが、残念ながらビザが下りず帰国しました。その後いろいろなご縁があり、現在の旅人舎に入社しました。


Q.旅人舎での業務内容について教えてください

 デスティネーションはヨーロッパ担当ですが、業務は仕入れからランド対応、接客、販促とオールマイティです。ヨーロッパ、というと団塊からシニア層がリタイア後に行くかハネムーンというイメージが強いでしょうか。当社の場合は、30代、40代の働く女性が多いです。形態は友人、母娘の2人旅やお一人様。こうした層はホテルにこだわるので、それなりのお金を使いますね。最近では、「のだめカンタービレ」の影響でウィーンを訪れる方が増えています。


Q.東欧の魅力とは何でしょうか

 ひと言でいうと、“色っぽい”です。艶がある、というか。街や人ではなく、国全体のムードが、という意味です。少し暗いイメージもありますが、もっと分かりやすく言うと大人の雰囲気ということです。例えば、プラハの冬の夜、旧市街を歩くと霧がかかって街がミルク色になるんです。プラハの旧市街は昔の建物がそのまま残っているので、まるで映画のセットのような、なんともいえないムードをたたえた風景を見ることができます。実際には夜なので旅行者にお勧めできませんが。

 細かいことで言えば、チェコにはオーストリアの伯爵に嫁いだクーデンホーフ・ミツコさんが暮らしたお城が残っています。ミツコさんは日本人初の国際結婚をしたことで知られる人物ですが、その波乱万丈な人生とともに興味をもつ方もいるのではないでしょうか。

 また、旧ユーゴスラビアであるクロアチアには、悲しい戦争の歴史がありますが、ここは元々ヨーロッパの人々にとってリゾート地なんです。特に、ジブリアニメ「紅の豚」や「魔女の宅急便」の舞台になったドゥブロヴニクは日本人好みだと思いますよ。


Q.DSを取得された目的は何ですか

 旅人舎に入って1年と少しですが、ここでの販促に活用しようと思いました。実際、当社のホームページやエイビーロードにもスペシャリストであることを明記しており、お客様からメールをいただくこともあります。実はオーストリア政府観光局が認定しているスペシャリストでもあるのですが、オーストリアの場合は「政府観光局公認」と明記しています。でも、DSの場合は「DS」としか表記できないので、JATAもしくは政観の名前を表に出せるといいなと思っています。また、もしクロアチアの認定があったら受けたいですし、社内にもインドがあったら受けると言っているスタッフがいますよ。


Q.今後、注目している国はありますか

 ボスニア・ヘルツェゴビナですね。エキゾチックな雰囲気のモスタル旧市街は、世界遺産でもありますし、ぜひ訪れてほしい場所の1つです。クロアチアのスプリットからドゥブロヴニクへ行く途中に寄れるので、アクセスも便利です。また、この国はJICA(国際協力機構)が援助していて、対日感情がすこぶるいいんですね。日本人が個人でできることは、観光で訪れてお金を落とすこと。これこそが本当の国際貢献であり、旅行業の本当の在り方だと思います。両国につながりがあるのに、それを活かさないのはもったいないと感じています。


ありがとうございました