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スペシャリスト・インタビュー:日本橋トラベラーズクラブ 徳竹浩美さん

英国やトルコで異文化交流の機会を

 中学時代に始めた世界各国のペンパルとの交流をきっかけに、海外への関心を深めたという徳竹浩美さん。旅行業界勤務25年目を迎えた現在は、懇切丁寧をモットーとする旅行会社、日本橋トラベラーズクラブで、個人旅行や受注型企画旅行の手配を一手に引き受けています。そんな徳竹さんが取得したDSは、英国・アイルランドとトルコ。いずれも、文化に強く興味を惹かれたためとか。これからも、異文化交流の楽しさを多くの人に伝えていきたいと語る徳竹さんに、旅作りについてお話をうかがいました。

日本橋トラベラーズクラブ 営業部主任
徳竹浩美さん
2010年度(第6回)デスティネーション・スペシャリスト 英国・アイルランド 認定
2010年度(第6回)デスティネーション・スペシャリスト トルコ 認定



Q.英国・アイルランド、トルコのDS取得のきっかけについて教えてください

 短大の英文科出身なので、英国にはもともと興味があったのですが、「クイリング」という伝統芸術を知り、より関心が強くなりました。クイリングというのは、紙縒り(こより)で立体を作るもので、英国では古くから紅茶を入れる容器を作ったり、家紋をかたどったりといろいろなものに用いられています。日本でクイリング教室を主催している学生時代の恩師が英国への研修旅行を企画し、その手配と添乗を担当したことがクイリングを知ったきっかけだったのですが、考えてみれば日本にも折り紙という紙の文化がありますよね。英国と日本には何か共通するものがあるかもしれないと感じ、より深く英国の文化が知りたくなりました。

 同様に、トルコにも文法をはじめ日本との共通点がたくさんあります。あまり知られていませんが、マグロやマツタケなど、日本人の好きな高級食材がトルコから日本に輸出されているなど、思いのほか接点も多いんですよ。どちらの国もより深く知れば、もっとさまざまな視点から旅の提案ができるのではないかと思い、DS取得を考えました。


Q.DS取得までの手応えと取得後の成果についてはいかがですか

 英国・アイルランド、トルコを同時に受講したのですが、想像以上に勉強に時間がかかり、ひとつずつ受ければよかったと後悔しました。子供がいて週末も使えないため、勉強の時間は通勤時と夜遅く。インターネットを使う勉強が多かったのでネット環境を整えたり、時間のやりくりをしたりと、大変でしたね。

 ただ、受講した成果は大きかったです。英国・アイルランドもトルコも、日頃から本を読むなどして情報収集はしていたつもりだったのですが、知っているようで知らないことがたくさん。食わず嫌いの分野について、情報の調べ方を知ることができたのも収穫でした。たとえば、私はあまりスポーツに興味がなかったのですが、サッカーのプレミアリーグやテニスのウインブルドンなどは英国観光に欠かせないもの。これまでお客様に手配を頼まれても、なかなか情報収集の入口がわからずに苦労していたのですが、これからは案内がしやすくなると思います。


Q.現在のお仕事の内容と仕事上のご苦労を教えてください

 当社の売り上げの多くは募集型の旅行によるものですが、近年は、参加してくださったお客様からの依頼やお客様の紹介による個人旅行や受注型企画旅行の割合が増えてきました。現在、その部分を主に私が担当していますが、最近はメールでのやり取りが増えたこともあって、文面から温度が伝わりにくく、お客様が具体的に何をどこまで求めているのかを把握するのに非常に気を使いますね。出発まで1ヶ月を切る直近の依頼が多いため、時間との勝負でもあります。また、お客様の興味やニーズが非常に多様化しているうえ、値段に見あった価値を求めるお客様の姿勢がよりシビアになっているので、こちらも勉強が欠かせません。ガイドの質も含め、より内容が問われる時代になっていると感じています。


Q.これからどんなツアーを提案していきたいですか

 私は、旅の楽しさの多くは、人との交流によるものだと思っています。ドイツのある小さな村で10年に一度、キリスト受難劇が行われるのですが、かつて、この期間に現地の家庭に泊まっていただくツアーに添乗したことがあります。お客様とホストファミリーの間の意思疎通のため、通訳に走ったりして大変な思いもしましたが、お客様には、現地の方との交流がとてもよい思い出になったと感謝されました。現在の業務は、お客様からのご希望をうかがって手配をする、いわば受け身の仕事ですが、今回DSを取得した英国・アイルランドやトルコは民泊だけでなくさまざまな形での人との交流が可能なデスティネーションだと思うので、将来、何か提案する機会があればよいなと思っています。


ありがとうございました


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