スペシャリスト・インタビュー:アサヒトラベルインターナショナル 五十嵐雅之さん

1つの旅をじっくり担当する仕事にやりがい


 留学、修学旅行、語学研修などの教育旅行を専門に取り扱うアサヒトラベルインターナショナル。46年の歴史があり、日本における教育旅行の歴史をみつめてきた旅行会社です。過去に旅行会社やツアーオペレーター、旅行関連会社でキャリアを積んできた五十嵐さんも、同社の独自性に刺激され、やりがいを感じながら日々の仕事に取り組んでいます。実は、五十嵐さんは同社第1号のデスティネーション・スペシャリストで、社内にDSの風を吹き込んだ功労者。DS取得のきっかけや、この2年間で担当したさまざまな教育旅行のツアーについてお話を伺いました。

アサヒトラベルインターナショナル 教育研修部
五十嵐 雅之さん
2010年度(第6回)デスティネーション・スペシャリスト ニュージーランド認定

                    
               
Q.もともと旅行がお好きだったのですか

 初めて海外へ行ったのは大学の卒業旅行です。それまでは主に国内を旅していました。旅行業界に入ったのは、旅行好きというだけでなく、旅を手配したり、アレンジすることで人を楽しませたりしたいという思いがあったからです。働きはじめてから海外へ行くようになり、ワーキングホリデーでオーストラリアとニュージーランドに滞在しました。ニュージーランドでは、現地のツアーオペレーターで働きながら、3年間暮らしました。その間、どちらの国もほぼ1周し、両国の地名や現地ツアーに詳しくなったという経緯があります。


Q.アサヒトラベルインターナショナルでのお仕事はいかがですか

 教育旅行専門の旅行会社という特異性はもちろん、これまでとまったく異なる仕事の仕方に刺激を受けています。旅行会社やツアーオペレーターは通常分業制で、企画や手配などその分野の担当をするのが普通です。しかし、当社では企画や営業に始まり、旅行説明会、出発準備、現地添乗、帰国後のフォローやその先の営業というように、1本の仕事を最初から最後まで担当します。旅の流れが把握できますし、なによりそこにやりがいを感じていますね。また、担当方面が決まっていないので、担当した学校や企業などのクライアントによって、旅のテーマも行き先もまったく異なるのが面白い点です。上司からは、見聞を広めるためにも得意なオセアニア以外にも行くように薦められていて、入社してから初めて行った国も多いです。


Q.例えば、どんなテーマでどんな場所へ行きましたか

 某大学の栄養学科がトスカーナ料理を学ぶということで、イタリアのトスカーナ地方への料理研修のツアーを行いました。約30名の参加者でホテル併設のレストランを借りきって講習を受けましたが、本当に料理がおいしかったですね。他の大学でも30名規模の研修旅行を担当したのですが、こちらはマリーアントワネットが愛したお菓子の講習を受けるというものでした。その後、彼女がパリへ嫁いだ時の道のりを辿り、ウィーンからザルツブルク、ドイツ経由でパリまで移動するという、パッケージツアーでは決して味わえない約2週間の旅を経験しました。

 修学旅行では、某私立中学校が毎年ニュージーランドへ行っています。南島のワナカにあるカレッジで午前中に英語の授業を受け、午後はアクティビティーという、まるで留学のような内容の修学旅行です。3泊5日や4泊6日というあわただしいスケジュールの学校が多いなか、ここは約10日間の日程で、120名の生徒全員がホームステイを経験します。私はこのツアーには同行していないのですが、かつてニュージーランドに住んでいた自分が行きたくなるくらい、とても内容の濃い良い修学旅行だと思います。


Q.ニュージーランドのDSを取得された経緯は

 昨年の新型インフルエンザの影響で、忙しいはずの時期に時間ができたため、腕試しの意味で受けました。結構知らないこともあり、勉強になりましたね。自己啓発になるということで、会社の補助を得ることもできました。また、今後は合格時に必要経費が全額補助されることになりました。

 資格の活用方法については、今年取得したばかりなので、まだ会社も含めて模索している状況です。認定者に送られるシールを名刺に貼ろうと思いますが、方面の明示がないんですね。ニュージーランドの認定者であることが一目で分かればいいと思うのですが。また、今年の試験日に出張になる可能性があり、たまたま時期をずらして受けることができました。試験を1回逃すと来年になってしまうので、試験日が年に2回くらい設定されているといいと思いました。来年はオーストラリアを取得しようと考えていますので、そのあたりが改善されるといいですね。


Q.ニュージーランドの良さは何でしょう

 やはり大自然です。ただ自然が美しいというだけでなく、それを保護する自然保護先進国として学ぶべきところが多いと思います。例えば、人気の観光地ミルフォードサウンドは、クイーンズタウンからバスで約5時間半かかります。ショートカットのためにトンネルを掘れば2時間のアクセスになりますが、現地住民の反対の声が多く断念されました。これだけ観光産業がメインの国でありながら、それ以上に自然を守ろうとする意識が強いのです。世界遺産であり、ニュージーランドを代表する観光地にわざわざ5時間半かけて足を運ぶ。その裏にはこうした経緯があることを踏まえてニュージーランドの旅をとらえると、教育旅行はもちろん、企業視察や個人の旅行にも広がりが出てくるのではないかと思います。


ありがとうございました


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