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スペシャリスト・インタビュー:パーパスジャパン 三世英美さん

福祉関連の視察が多いスカンジナビアでホスピタリティを感じる旅を

 「応援します! テーマのある旅」をキャッチフレーズに、オーダーメイドのツアーを提供しているパーパスジャパン。同社で、スカンジナビア方面を中心に企画、手配、添乗を手がける三世英美(みつよ えみ)さんは、大学時代に交換留学生として訪れたスウェーデンで、すっかりスカンジナビアのとりこになってしまったそうです。この不況下にあって、年々売り上げを伸ばしているという同社の取り組み、そしてスカンジナビアの可能性についてお聞きしました。

パーパスジャパン 営業1課
三世英美さん
2009年度(第5回)デスティネーション・スペシャリスト スカンジナビア認定

              
          
Q.スカンジナビアとの関わりを教えてください

 福祉への興味から、大学時代に1年間、スウェーデンに交換留学で訪れたのが最初です。以来その魅力にはまってしまい、卒業後、一度職に就いてから語学留学しました。このときは日本とスウェーデンを結ぶ旅行の仕事がしたいと思って職探しもしていたのですが、旅行業未経験であることがネックでなかなか決まらなかったんです。そんなとき、インターネットで知ったパーパスジャパンに応募したところ採用となり、以来、スカンジナビアを中心に企画、手配、添乗を担当しています。


Q.DSを取得してのご感想は

 DSを取得したのは、幅広い知識を得たいという思いからです。内容については知っていることも多かったのですが、当初の目的通り広範な知識を得ることができて有意義でした。お客様に提供するアドバイスの選択肢が増え、ご要望や質問にまんべんなく答えられるようになったと思います。好きなエリアなので勉強も苦ではなく、自分のペースで勉強ができることもよかったですね。


Q.仕事の内容を教えてください

 弊社は分業制をとっていないので、お客様一人一人の目的やテーマにこだわった丁寧な旅作りをモットーに、一人の社員が企画から手配、ときには添乗まですべてこなします。先日は、スウェーデンのコスタ・ボーダというガラス工房を訪ねたいというご要望をいただき、お客様と相談しながら旅の手配をしました。70代女性2人の個人旅行で、ストックホルムから電車、その先はローカルバスというアクセスのうえ、雪で列車の遅延などのトラブルもあったようですが、とても楽しんで帰国されたようです。お客様から、帰国後「楽しかった、もう一度行きたい」といっていただけると本当にうれしくて、やりがいを感じますね。このほか、芸能人のファンクラブツアー、写真集のロケ、歌舞伎俳優さんの海外公演の手配なども担当しました。


Q.会社の取り扱いに変化はありますか

 創立10年になりますが、スカンジナビアに限らず、年々取り扱いは増えています。とくに今年に入って手が回らないくらい忙しくなっていますね。オーダーメイドツアーの場合、内容によってはパッケージ商品より料金が高くなりますが、不況でも、旅にこだわる人、目的がある人は支出を惜しまないのではないでしょうか。お客様の主な年齢層は30代から40代ですが、旅行に不安を抱えていらした高齢者の方が喜んで帰っていらっしゃるのを見ると、今後必要なのは、「効率」より「いかにお客様のご要望をかなえるか」なのだとあらためて思います。


Q.昨今のスカンジナビアへの注目度に変化は

 冬はオーロラ、夏はフィヨルドなど、自然の素材も人気です。ただ、やはり需要が高いのは福祉関係で、問いあわせの約半数を占めています。最近は、介護施設だけでなく児童保育所や病院など、視察を希望される施設の幅が広がっていますね。申し込まれる方も、就職を控えた学生、すでに仕事に就いていて勉強のために視察をしたいという人、これから介護ビジネスをはじめる人、親御さんの介護している主婦などさまざまです。ご希望によっては、現地施設のスタッフとの意見交換の場も設けています。もちろん日本語ガイドが最初から最後までつくので言葉の心配はありません。


Q.おすすめのスカンジナビアの素材はありますか

 夏におすすめなのは、スウェーデンのゴッドランドですね。多くのスウェーデン人がサマーハウス(別荘)をもつ島ですが、実は、映画「魔女の宅急便」の舞台になった場所でもあるんです。ヴィィスビューで城壁などの歴史遺産を見学したり、美しいビーチを楽しんだり。かわいらしい店もあるので、サイクリングで街を巡るのも楽しいと思います。そのほか、最近、注目度が高くなっている建築関係では、ストックホルムで市立図書館や世界遺産でもある「森の墓地」など建築家アスプルンドの作品を見学です。


Q.スカンジナビアの魅力とは

 私がスウェーデンを好きになったのは、暮らしやすかったからです。確かに店は夜遅くまで開いていないし、コンビニや遊ぶところも多くはありません。最初は不便に感じたのですが、その分、家族と楽しむ時間を大事にしているところに魅力を感じました。時間の流れもゆっくりで、便利さや時間の節約を優先する日本人の発想と大きく違います。物質的な便利さがなくても、精神的に大きな満足感が得られることがわかりましたね。これはスカンジナビア全体にいえることかもしれません。お客様のお話を聞くと、道に迷ったけれど、現地の人が助けてくれたとおっしゃる方がとても多いのですが、私も重い荷物を持って苦労していたところを助けてもらった記憶があります。人々に余裕があるのでしょう。こうした魅力は、短期間の旅行でも十分に感じられると思います。


ありがとうございました




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