スペシャリスト・インタビュー:スカイエクスプレス 佐々木久弘さん

シルクロードに強み、他社にはない手配力に自信

 中央アジアを中心に地上手配を行う旅行会社スカイエクスプレスでは、シルクロードに関係の深い国々を取り扱っています。日本語を流暢に読み書きする各国出身のスタッフもおり、対応言語は英語や中国語をはじめ、ロシア語、ウズベキスタン語、タジキスタン語、キルギス語など多岐に渡るとか。シルクロードなら、他社にできないこともできる、という佐々木さんですが、ご自身はインドシナや東南アジアに強いといいます。シンガポールに5年間滞在していた経験もあり、昨年DSを取得。中央アジアおよびシンガポールの魅力、今後の目標などについて伺いました。
 
 
スカイエクスプレス ディレクター
佐々木久弘さん
2009年度(第5回)デスティネーション・スペシャリスト シンガポール認定

 
 
Q.御社の取扱い地域と客層について教えてください

 当社は、中央アジアを中心に地上手配をおこなう旅行会社で、旅行部門の設立から15年になります。中央アジアとは、旧ソ連から独立したカザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタンの5ヶ国です。弊社では、中国西部の新彊ウイグル自治区や台湾、香港、マカオも含む中華圏全て、中東のパキスタンやイラン、コーカサス地方のアルメニアや、アゼルバイジャンなども手配可能です。いずれもシルクロードと深い関係にあるエリアなので、シルクロードトラベルというブランド名も使っています。

 これらの地域ではイスラム教徒が多く、美しいイスラム寺院や旧市街などが見どころのひとつです。○○スタンという国名だけで抵抗を感じる方もいますが、日本と同じくらい治安もいいですし、どこの国も日本語熱が高く、特にウズベキスタンでは日本語学校も多いんですよ。日本人旅行者は歓迎されますし、特に子供たちは人懐っこいですね。日本製のボールペンをねだってきて、あげると大喜びします。グループでの旅行も増えていますが、女性の一人旅や女性だけの小グループが増えているのが最近の傾向です。


Q.例えば女性向けにおすすめできる中央アジアの旅について教えてください

 シルクロードに興味があるなら、ウズベキスタンのタシケントからサマルカンドへの旅がおすすめです。道はアスファルトになっていますが、多くの方がイメージするシルクロードらしい風景を見ることができるでしょう。歴史ロマンに興味のある方なら、ウズベキスタンのタシケントやテルメズ、タジキスタンの首都ドゥシャンベなどで仏教遺跡を巡ってみるのはどうでしょう。三蔵法師が通った国なので、至る所に関連の遺跡があります。また、雄大な風景を楽しみたいという方には、キルギスをおすすめします。中央アジアのスイスと形容されるように、雄大な山並みを望むことができます。そのほかキルギスには、作家の井上靖さんも惚れ込んだ美しい湖、イシククル湖があり、ここから眺める天山山脈も絶景です。
 

 食事も日本人の口にあうと思います。例えばウズベキスタンなら、主食のフランスパンのような味がする固めのナンに、細切りにした野菜のピクルスを挟んで食べると最高です。ただし中央アジアでは、ひまわりや綿の油を多用するので、旅行者は胃腸薬などの常備薬を持っていった方がいいでしょう。


Q.佐々木さんのご専門は東南アジアと伺いましたが

 中央アジアを担当することもありますが、もともと好きな地域は東南アジアです。子供の頃に東南アジアを旅した祖父から当時の話を聞いており、シンガポールという地名が心に残っていました。大学卒業後、たまたまトランジットで降り立ったシンガポールに心奪われ、その後数年間シンガポールでの仕事探しに奔走し、何とかホテルのマネージャーの職に就いて5年間滞在したんです。その5年間に東南アジアの国々を巡って勉強もしました。

 そうした経緯があったので、現在の会社に入社する際、得意の東南アジアを活かせるよう、インドシナ&東南アジアのセクションを作ってもらいました。各国の手配をはじめ、弊社はラオス国営航空(QV)とミャンマー国際航空(8M)の指定販売代理店(PSA)もしています。


Q.シンガポール滞在の5年間はいかがでしたか

 シンガポールは、都市部における急速なITの進化や観光の発展などを見るのが面白いと思う一方、トロピカルな雰囲気とのんびりとした人々の暮らしが好きでした。観光地を巡るのもいいのですが、国民の8割以上が暮らす国営アパートHDBに立ち寄り、1階にある屋台村、ホーカーズで安くて美味しい地元の味を楽しんでほしいと思います。

 またこれはいい話ではないのですが、シンガポール滞在中にSARSに見舞われました。街から人々が消え、ホテルの業務はすべて停止。よく分からないまま強制的に休暇を取らされ、給料も半減するという状況でしたね。最終的にゆっくりと回復していきましたが、シンガポールを訪れる旅行者や出張者の回復が最も遅かったのは日本でした。


Q.シンガポールのDS取得には自信がありましたか

 簡単ではありませんでしたが、住んでいたという強みは活かせたかもしれません。DS取得後、社長からシンガポール滞在30時間の許可をもらい、弾丸ツアーで知り合いの旅行会社に自慢しに行ったのですが(笑)、そのおかげで現地からの問い合わせが増えました。例えば昨年は、シンガポールから日本への修学旅行の話がいくつかあり、東京や九州への手配を進めていたんです。結局、新型インフルエンザの影響で催行に至りませんでしたが、これからは東南アジアのインバウンドも含めて、双方向の手配を行っていきたいと考えています。そのためにも、1年に1つのDSを取得しようと思っていて、今年は台湾のDSに挑戦する予定です。


ありがとうございました



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