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スペシャリスト・インタビュー:ワタベウェディング 長谷川晋子さん

海外ウェディングの切り口は2パターンオーストラリアはきちんと挙式派とハネムーンメインのカップルに対応

ワタベウェディングで旅行会社向けの企画をメインに担当されている長谷川さんは以前、日本の旅行会社のホールセラー、シドニーの旅行会社、そして日本の挙式施設で勤務された経験の持ち主。旅行と挙式の双方の視点でオーストラリアの魅力に触れていらっしゃいます。そんな長谷川さんにお話をうかがいました。

ワタベウェディング株式会社
デスティネーション商品企画 係長 長谷川晋子さん
2008年度(第4回) デスティネーション・スペシャリスト オーストラリア認定



Q.DSを取得した理由を教えてください

 私は現在、旅行会社のニーズにあわせて弊社のプランを作り上げ、提案する仕事をしていますが、接客することもたまにあります。そのとき、DSを取得すれば「挙式のプロ」に加え、「旅行のプロ」をお客様にアピールするツールの1つになると思いました。

 私はシドニーで日本の旅行会社にツアー企画を提案する仕事をした経験を、業務や滞在中に得た知識を自分の強みとしてアピールする方法を探していました。これまでは「オーストラリアに住んでいたので何でも聞いて」とお話していましたが、今後はDSを知識の証明とする売り込みの仕方をしたいと思います。


Q.御社は海外ウェディングの最大手でいらっしゃいますが、オーストラリア挙式の特色はありますか

 オーストラリアは親日的で、安心して列席者を連れて行けるメリットがあります。また、ほとんどのチャペルが独立型で特徴があるため、お客様の好みが分かれば立地や外観、内観、眺望などをピックアップして会場を導きやすく、お客様も決めやすい。さらにこれは弊社独自の強みなのですが、技術者の就労ビザが比較的取りやすく、日本人のカメラマンやビデオクルーを採用できるので、撮影技術が抜群。挙式のマストアイテムでもある映像にこだわるお客様に提案しやすいエリアという特性があります。

 一方、海外挙式のもう1つの切り口である旅行をメインとする場合、1つの都市ごとに1冊のパンフレットができるほど楽しめる多種多様な魅力がある場所だと思うので、さまざまなニーズに応えることができます。ただし、海外ウェディングでオーストラリアを選ぶ方は、単純に「オーストラリアで挙式したい」という希望をお持ちですので、どのエリアでの挙式をおすすめするか大変です。接客時は現地で何をしたいのか、いつの季節に挙式したいか、休日は何をしているかなど、お客様の希望から嗜好までうかがい提案していきます。限られた時間内にお客様の潜在的なニーズを探って提案していく難しさがありますね。


Q.長谷川さんは旅行会社と挙式施設に勤務された経験がありますね。今のお仕事に役立っていますか

 今まで、海外旅行の販売や、挙式プランそのものを販売したことはありますが、海外ウェディングを販売したのは弊社に入社してからのことでした。実際に販売してみて「挙式と海外旅行が合わさるとこうなるんだ」って新鮮な驚きがあったのが面白かったです。挙式と海外旅行の両方のニーズをバランスよくうかがい、要望を満たして初めて納得してもらうことが大切であると分かりました。

 ですから、現在のお仕事でも、お客様にいかに伝わりやすく、接客しやすい商品を作らないといけないと改めて思っています。作り手の思い入れだけではダメで、常に購入する人を頭に描きながら向き合うようにしています。挙式も旅行もお見せできる商品ではありません。さまざまな人の知見の積み重ねで商品ができていると思います。そこが難しいところだけれど、魅力の一つでもある。その魅力をどうしたら素敵に出せるのか。考えていくと壮大なるけれど、それに近づけられるように頑張っていこうと思っています。 


Q.旅行先として、オーストラリアの魅力をどのように捉えていらっしゃいますか

 旅行に重要な「見る・食べる・遊ぶ」をきちんとした形でサービスを提供できる国です。私がおすすめするのは、自然派の方にはやっぱり、エアーズロック。今まで5回ほど行ったことがありますが、何度のぼってもすごい。悪路を1時間半駆けて登ること自体がなかなか体験できず、その気分の高揚感は、何物にも変えられません。テレビや雑誌でその景観は見られますが、自分で登って見る景色は全然違う。やっぱりすごいですよね。


Q.旅行業界に対して思うことはありますか

 先日、10日間のエジプト旅行に行き「やっぱり旅行って、いいな」って、つくづく思いました。カイロやアスワン、ルクソールなどメジャーな観光地の周遊旅行で、確かに食べ物はそこまで美味しくないし、日本より安全ではないかもしれない。けれど、現地に行かなくてはできない体験や知ることができない良さが、たくさんあります。

 最近は旅行会社の人ほど、旅行が好きなのに忙しくて海外にいけないという話をよく聞きますが、やはり、お客様に追いつかれてはダメだと思いますし、現地の良さや旅行することの楽しさは味わっているからこそ、その魅力が接客時の言葉に加わって、お客様に伝わるのだと思います。旅行業界の方々は皆様、お忙しいとは思いますが、ご自身のリフレッシュを兼ねて旅行をする機会が増えたらいいな、と思います。


ありがとうございました


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