スペシャリスト・インタビュー:阪急交通社メディア営業二部 坂巻朋子さん

オランダ・ベルギーで春以外の定番コースを作りたい

「好きなことは仕事にしない方がいい」。就職活動時に聞いたアドバイスから、好きな旅行ではなく保険会社に就職した坂巻さん。総合職として仕事をこなしていたが、「好きなことを一所懸命やりたい」と思う気持ちが強まり、転職を決意。まずは派遣社員として旅行業界でのキャリアをスタートし、2年前には社員に登用。今年からは念願だった企画担当に抜擢されました。そんな坂巻さんに、企画担当のエリアでもあるオランダ・ベルギーの魅力をうかがいました。

株式会社阪急交通社
 メディア営業二部 海外営業一課 二係 坂巻朋子さん
  2007年度(第4回) デスティネーション・スペシャリスト オランダ・ベルギー認定



Q.DSを受講したきっかけと感想を教えてください

 所属する課の上司が「みんなで受けよう」と呼びかけたのが、受講のきっかけです。旅行の仕事では知識をつける必要があるので、その環境を作ってもらったいい機会だったと思っています。とはいえ、最初はなかなか勉強する腰が上がらず、試験近くになってスパートしました。でも取り掛かりはじめると、業務に役立つものから飲み会の席で話ができるような笑える話題まで幅広く、どんどん進めることができました。

 仕事でももちろん、役立っています。例えば旅行説明会で話題が広がりました。例えば、「オランダには美術館がいくつあるか、知っていますか」など。ガイドブックや添乗中で見つけた話以外に、お客様の関心を引く話題の引き出しが増えたのはうれしいことです。

Q.坂巻さんはオランダとベルギーというデスティネーションを、どうとらえていらっしゃいますか

 担当するまでは、オランダのチューリップやベルギーの古城など女性に人気のあるデスティネーションだと思っていました。でも、DSで勉強すると美術や芸術にゆかりの深い国ということも分かり、積極的に紹介するようにしています。説明会でオランダやベルギーに興味がなさそうな男性が、美術館の話をした時に関心を持った表情になると、「やった!」って、うれしくなります。

 また、昨年私はオランダ、ベルギー、ルクセンブルグにいく春のツアーに添乗したのですが、参加者のご夫婦から、女性に人気の「花」と、男性も好む「美術館」の「両方を満たす国はなかなか少ないよね」と、改めて両国の良さを教えていただきました。確かにこの2つがマッチするデスティネーションは少なく、まだまだ奥深い魅力があると思っています。

Q.今までの業務で特に印象深かったものは何ですか

 弊社にはロングセラーの「ドイツ・ロマンチック街道・スイス・パリ9日間」というレギュラー商品があります。主要商品ですが年々、右肩下がりになっており、てこ入れをする必要がありました。こんな重要な仕事を「数字もついてくるが、やりたいか」と打診していただき、チャンスに飛びつきました。自分にとって初の担当コースです。先輩方からたくさんのアドバイスをいただきながら、結果的にV字回復ができたので、よく頑張ったと思える仕事の1つになっています。

Q.回復のポイントは何だったと思いますか

 今回は「こだわりポイント」をたくさん作ってみました。このコースは3ヶ国を9日間で回るため、それぞれの観光地を駆け足で紹介することがほとんどでしたが、例えばスイスではユングフラウやマッターホルンの2大名峰の自然だけでなく文化に触れられるよう「フォークロアショー」を入れ、パンフレットでも打ち出しました。

 また、ヨーロッパツアーは、フライトが決まるまで帰国日の出発時間が読みにくく自由行動にすることが多いのですが、このコースは全日空(NH)指定であることを生かして午前中に観光が可能であることを明示し、最後まで観光を楽しめるアピールを加えました。それから、ドイツでは移動途中に木組みの家並みの風景が特徴のディンケルスビュールにも立ち寄るようにしました。各ポイントでコースの見どころを際立たせることを心がけました。

Q.今後、挑戦したいと思っていることはありますか

 やってみたいことはたくさんあります。例えば今は、私が作る企画は期間限定のツアーが多いのですが、まずはレギュラーコースを作ることをめざしたい。30代後半の方々が若手の頃に企画したツアーが今も主軸として売れていますので、そんなツアーを作れるように努力したいと思っています。

 オランダ・ベルギーではやはり、春以外の魅力を伝えられる通年コースを作りたいですね。実は今年は秋以降に設定したツアー「オランダ・ベルギーの6日間スペシャル」が人気です。ゴッホやルーベンスなどオランダとベルギーを代表する芸術や世界遺産、各地のグルメを盛り込んだもので、時期によっては黄葉が楽しめたり、クリスマスマーケットにもお連れします。

 特に街中のプラタナスの街路樹が黄葉になる秋は注目しています。こういう時期に古城を巡れば季節感が出て、春と同じような定番商品になると思うのです。芸術面にもさらに力を入れて取り組んでいきたい。「ゴッホの森」などは個人で行くには難しい場所にあるので、ツアー向きですよすね。

Q.今後の目標をお聞かせください

 弊社のお客様は旅好きの方が本当に多く、「さらにもう一歩先の国へ」と打ち出した会員誌の「地球遊々散策」などでアフリカは定番。イスラエルやシリア、ヨルダンなどのツアーも増えています。私は、難しいことだとは思いますが、こうした旅好きのお客様の要望に全て応えられる知識と体力をつけたい。

 今は外国語が話せる人やインターネットで情報を得られる人は旅行会社から離れるかもしれません。それでもその時代が求める知識を持ち、要望に応えられる商品を提供できる会社になっていかなくてはいけない、と思っています。私は旅に関することが好きだし、お客様とのお話も楽しい。周囲の方々からも学び、自分が求める自分になれるように努力していこうと思っています。

ありがとうございました


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