オーストラリアを代表する景観のひとつ、シドニー・オペラハウスが2007年6月28日、世界文化遺産に登録されました。既に世界遺産に登録されているアメリカの「自由の女神」、インドの「タージマハール」そして中国の「万里の長城」など、世界のランドマークと肩を並べる存在として、ニュー・サウス・ウェールズ州5番目の世界遺産となりました。 1967年、シドニー港にヨットの帆をイメージして建設され、それ以来、オーストラリアを表現するアイコンとして知られてきたシドニー・オペラハウス。世界文化遺産に認められた理由は、その独創的な建築デザインと、それを作り出した技術力によるものです。デンマーク人建築家、ヨーン・ウッツオンによってデザインされた建物の基盤は、メキシコ・マヤ文明チチェン・イツァ遺跡の土台を参考に設計され、14年の歳月をかけて建築されました。 その建築方法は、実にユニーク。真っ白に輝く貝殻のような、帆のような屋根は、丸いパーツをパズルのように組み変え、美しい曲線を生み出しています。そこには、100万枚以上のタイルが使用され、海を美しく保つために配慮された独自の自浄作用によって、洗浄する必要がありません。そんな工法は、シドニー・オペラハウス内部の見学ツアーに参加すると手にとるように理解することができるでしょう。後に、建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞したウッツオン。そんな天才建築家の夢がつまったシドニー・オペラハウスが、とうとう人類の遺産として認められたのです。 |