ベトナムへの修学旅行を実施した高等学校の数は6校・計237人(文部科学省「平成16年度高等学校等における国際交流等の状況について」より)。 まだまだ未開発のデスティネーションだ。一方で、首都圏では来年度から埼玉県以外で公立高校の海外修学旅行が許可されるなど、今後のビジネスチャンスの拡大が予測され、各社とも送客先を開拓する必要がある。べトナム修学旅行を企画・催行するメリットと注意したいポイントを紹介しよう。 |
充実した日本語ガイド、医療体制
ベトナム修学旅行のポイントは、歴史・文化などの豊富な観光素材のみならず、治 安の良さ、医療や日本語ガイドの充実度があげられる。現在、ベトナムには多くの日系企業が進出しており、現地の対日感情も 良い。日本語を習得しようとする人も多く、ガイドの日本語に不安な点はなかった。日本への関心も高いため生徒にフレンドリー に話しかけ、生徒もガイドとの会話を楽しんでいたようだ。日本人医師が勤務し、保険にも対応する病院が多く、万が一の時も 安心。
また、現地では今回の修学旅行を受けたエーペックスベトナムを筆頭に、サイトラベル、SMIといった日本資本や日本の旅行会社との付き合いの長いランドオペレーターがいるので、現地手配にも信頼が置ける。
交流の意欲が高く、現地企業の視察も可能
エーペックスベトナムの高本克則氏によると、ベトナムの学校や各種施設は海外の学校との交流に積極的だという。また最近、同社で実施するもので好評なのが、現地の日系企業訪問。味の素や兵庫シューズなどの工場があり、内部見学のほか所長から現地の生活などの話を聞く。先日も関西の高校の生徒80人が地元企業の兵庫シューズの工場を訪れたという。
このほか、植林やベトナム料理教室などの体験も実施しており、植林体験は1度に80人くらい、料理教室は1度に40人程度が参加可能だ。その他、雑貨作りなど各種のプランを計画しているという。
受け入れ整備進むもまだ少数、時期でカバー
修学旅行など、団体を受け入れる大型ホテルも増えてきている。ホーチミンでは今回宿泊したホテルエクアトリアルサイゴンと、ニューワールドの2軒が代表だが、他の修旅デスティネーションに比べれば、まだまだ少ないのが現状だ。そこで提案したいのが、ロー・シーズンの送客。ホーチミンは観光ブームで客室を押さえにくい日が多いが、高本氏によると3〜4月、6月と12月の上旬が比較的空いており、「交渉次第ではよいレートも期待できるかも」ともいう。
実は費用面はベトナム修学旅行のネックであり、他のアジア諸国に比べて高額になってしまう。例えば、神奈川県の公立高校では一人当たりの上限が13万円となっているが、予算内に抑えるには今回のプランでは難しい。ただし、食事やホテルのグレードを下げて分泊にし、体力面の負担が増えるが前泊や専用列車での移動をやめて空港集合にすることで、ある程度の予算をカットできるという。ただ無理に予算を抑えるより、海外修学旅行の実績が豊富で目の肥えた私立校にベトナムを提案し、予算に限りのある公立校へ従来のデスティネーションを持っていく方が、修旅市場のキャパシティを有効利用できるといえるだろう。