フライ&ドライブに適したラスベガス
ラスベガスはアメリカ本土の中でも、日本人観光客が多い都市のひとつ。新作のショーが次々と上演されるほか、ホテル等のリニューアルや拡張、新設など魅力の高まりは多いが、その周囲に広がる大自然も見どころのひとつ。今後はアメリカの醍醐味である自然を、思うままに楽しめるドライブも積極的に提案したい。ラスベガス・フライ&ドライブ旅行を薦めるための理由と現地での体験を紹介する。
(取材協力:ラスベガス観光局/ネバダ州政府観光局、ハーツレンタカー、アメリカン航空)
フライ&ドライブに適したラスベガス

事前予約で手続きが簡便に

ラスベガス空港内のハーツレンタカー
ラスベガス空港内のハーツレンタカー
 アメリカでレンタカーする場合、各レンタカー会社は空港内にカウンター設けているか、空港ビル外の事務所へのバス送迎を用意しているので、手続きカウンターまではスムーズに行ける。

 しかし、スタッフとレンタカーするための会話をする段になると、日本人は戸惑うことが多い。レンタカーを手配し、保険を掛ける依頼を日本語ではできず、分かりにくいからだ。この言葉の壁が、日本人が海外レンタカーを躊躇する要因のひとつとなっている。

 これは各レンタカーの日本事務所に問合せをし、予約をすることによって改善される。この場合、空港のレンタカー事務所ですることは予約の書面を提出し、予約通りの車のサイズであるかの確認、保険の確認などとなる。書面にサインをすれば手続き完了となり、あとは基本的な社内操作を確認するだけだ。レンタカーに乗る際は、指定された車であるか、駐車場の番号表示などを合わせて確認したい。

空港〜ホテル間もスムーズ

 さらにハードルが高い、と思わせる要因は道路事情。確かにアメリカの大都市では、レンタカーを借りる場所から市街地へドライブする際、主要道路に乗るまでが難しい場合もある。そんな道を長時間のフライト後にレンタカーを借りて運転することに抵抗を覚え、店頭でお薦めしにくいというスタッフも少なく無いだろう。

 ただし、ラスベガスは、空港が中心街にほぼ隣接。車で中心街まで10分程度と近いうえ、主要道路に出るまでの道順も簡単である。この主要道路に入れば、日本人が利用する主なホテルまではほぼ一本道、あるいは1、2回程度左折、右折をすれば到着できる。さらに現在は、日本語のカーナビが普及し始めている。こうしたドライバーをサポートするシステムの台頭も、レンタカー販促を後押ししてくれるだろう。

30分で大自然を楽しめる郊外へ

レッドロック・キャニオン
レッドロック・キャニオン
 ラスベガスは中心街から車で30分程の郊外で、大自然を楽しめることができるのも大きな魅力だ。中心街の西に位置するレッドロック・キャニオンは、ドライブの手始めに程よい場所だ。

 レッドロック・キャニオンは国立保護区内となっており、車は一方通行。ここへ到着するまでのドライブで道路事情に慣れることができる。また、ドライバーも運転しながら、公園内の移り変わる景色を見ることができ、所々に設けられた車を駐車できる場所でゆっくり眺めを楽しむことができる。

 このほかにも、ラスベガス近郊へのドライブとしては人造湖のレイク・ラスベガス、アメリカの歴史を飾る大規模工事としても名高いフーバーダム、そしてグランド・キャニオンなどの名勝を見ることができる。

交通ルール、マナーに注意

 ドライブしやすいことは前述の通り。だからといって日本と同じ感覚ではなく、アメリカで運転する意識をしっかり持ち、アメリカの交通ルールに従うこともお客様にはきちんと伝えたい。なかでも注意したいのがスピードの出しすぎ。日本では多くの場合、制限速度が道路上に表示されているが、アメリカでは道路の右側に「マイル」で掲示されている。特に街の近くでは制限速度が時速25マイル(約40キロ)程度の設定だ。今回のドライブでは、アメリカ人ドライバーの多くが制限速度を順守していた。日本ではややもすると制限速度よりも、周りのスピードに合わせるというスタイルが多いが、きっちりとスピードメーターの表示を確認しながら運転するように促したい。周りには建物のない大平原が広がり、スピードを出したい気持ちに駆られるが、ぜひ、安全運転を心がけてもらいたい。
ドライブではゆとりを持って楽しみながら
ラスベガスを起点に国立公園を訪問
アッシュ・スプリングス
 ドライブの目的地に到着する前に立ち寄った場所。ラスベガスから2時間ほどのところにあり、休憩にはちょうど良いところ。既に、ラスベガスから訪れた観光客が水浴びを楽しんでいた。ドライブには、息抜きを入れながら目的地までたどり着きたい。
キャセィードラル・ジョージ州立公園
(左)現在も侵食が続く (右)キャセィードラル・ジ ョージで説明する公園管理人
現在も侵食が続く 
キャセィードラル・ジ ョージで説明する公園管理人
  約百万年前ごろ、この地は湖に覆われており、その湖底に砂利などが沈殿した。湖の水が引き、雨などにより地表の土の一部が僅かずつ流れ出す侵食作用が続いており、現在でも粘土状の土により岩石の形が変化している。洞窟のように穴を入っていくことができるほか、地表を登り、所々に開く穴を上から 眺めることができる。

 また、1869年にはモルモン教徒がこの地を訪れ、移住した。20世紀前半には自動車が普及したことで、ピクニックに訪れる地となり、1935年には州立公園に指定されたという歴史もある。公園にはサボテンなどのほか、 サクラソウなどの植物も自生しており、動物は野うさぎ、 ねずみなども見る
ことができる。

 なお、キャンプ施設を完備しており、宿泊することも可能だ。

イーリー
(左)イーリーの街並み(右)ホテル・ネバダの全景
イーリーの街並み
ホテル・ネバダの全景
 かつては鉱山の街であり、銅の運搬で鉄道も施設された。鉱山の街としては一時期、衰退したものの、現在は復活しつつあるという。この街の中心には7階建ての「ネバダ・ホテル」があり、ここを拠点として雪山に向かったことから、著名なハリウッド・スターが訪れたという。
ワード・チャーコル・オーブン
炭を作ったオーブン
炭を作ったオーブン
  銀山が近郊にあり、この銀を採取するために利用する炭を作るためのオーブン。近隣の石を集め、巨大なオーブンが現在も6個が残る。1回で5エーカーから6エーカーの木が必要となり、3ヶ月に1回程度の利用であったという。ただし、本来の炭を作るという目的ではおおよそ3年程度しかなかった。約10年前にネバダ州の州立公園として指定された。
グレート・ベイジン国立公園
(左)ウィーラー・ピークを望む(右)リーマン・ケーブ
ウィーラー・ピークを望む
リーマン・ケーブ
  最高地点は3982メートルのウィーラー・ピークと、富士山よりも高い山だ。車で1万フィート(3049メートル)まで登頂することができる国立公園。ビジターセンター近くにはリーマン・ケーブスと呼ばれる鍾乳洞がある。

 3000メートル級の山であることから、山麓の砂漠気候から、温暖な地域の植物、針葉樹林と山を登るに従い、さまざまな植物が自生する様子がわかる。登山をする場合は、3000メートルまで車でのぼり山頂を目指すか2300メートルから山頂を目指すこともできる。

 訪れた日には山を登るに従い、天候が変化。3000メートル近くでは雪が降り出した。当然のことながら、山登りをする際には、気候の変化に備えた用意が必要だ。

ドライブの秘訣
 
ドライブの秘訣 今回のドライブでは上記の行程を1泊2日でドライブした。途中、地図上で見つけた「温泉」を急遽、予定に組み込んだ。こうした場所を訪れることもドライブならではの楽しみだからだ。今回は「アッシュ・スプリングス」という地名から、「温泉」を想起し、立ち寄ることにしたのだ。

 ドライブではちょっとした息抜きが必要で、今回の「温泉」のような小さな観光スポットは、休憩の場としても最適。アメリカでのドライブは長距離を長時間のドライブとなることもあり、適当な場所で息抜きを入れる必要がある。下調べにあたっては、こうした場所を見つけることも大切だ。もし、見つけられない場合は、途中の街で休憩するのも良いだろう。小さな街には趣きのある建物も多い。周囲を散策するだけでも、十分な休憩になるはずだ。

マップ