燃油サーチャージを旅行料金とは別に徴収した場合には、燃油サーチャージそのものが増額された時に、その増額分を請求できることに問題はない。もっとも、前述の通り、旅行者には、誤解の無いよう丁寧にその必要性を説明すべきなのは当然である。
ところで、サーチャージを当初から旅行代金に組み込んでおくことも旅行業者の自由である。しかし、この場合、サーチャージが増加した場合に厄介な問題が生じる。
旅行者が申込金を支払ってしまうと、旅行契約は有効に成立する。そうすると、「契約は守られるべし」との法原則が働き、原則として契約内容の変更は出来なくなる。そこで、旅行契約約款では「公示されている適用運賃料金に比べ、通常想定される程度を大幅に超えて増額される場合に限って、旅行代金を変更出来る」ことにしている(募集型、受注型いずれも契約約款14条1項)。
すなわち、サーチャージの増額が、ここでいう「大幅」な増加といえる場合にかぎり、旅行代金を増額できるのである。となると、実務としては、「大幅」とはどのくらいかが重要となる。1,2割の増加では、「大幅」とはいえないが、5割を超えれば「大幅」であろう。2割から5割の間をどうするかであるが、この場合は、旅行代金全体との比較など、総合評価せざるを得ないと思われる。
なお、仮に、「大幅」な増加を理由に旅行代金が変更できたとしても、旅行者は、それが不満であれば、取消料無く旅行契約を解除できる(募集型、受注型の契約約款16条2項2号)ことを忘れないで欲しい。
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