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マレーシア修学旅行にビーチ滞在をプラス
生徒達に人気があるプログラムの一つがビーチ・アクティビティ。自然やホームビジットなど教育旅行の素材に定評のあるマレーシア修旅にビーチ滞在を加えれば、従来以上に満足度の高い提案が可能になる。それに適した場所がジョホール州デサル。今年から某大手旅行会社が取扱いを開始したこともあり、注目の修旅デスティネーションになりそうだ。
(取材協力:マレーシア政府観光局、シンガポール航空)
アクセス良好、シティとの周遊で旅程にメリハリを

 デサルはジョホール州東南部のビーチ・リゾート・エリア。22キロも続くベージュ色のビーチは世界的に有名で、特に隣国のシンガポールから日本人駐在者を含め、多くの観光客が訪れる。周囲にはジャングルやオイル椰子のプランテーションが広がり、道路には尾長ザルが歩くような、自然豊かなリゾート地だ。

 以前はビーチ沿いにリゾートが点在していたが、SARSの影響で閉鎖したリゾートが多く、現在、営業しているリゾートは2軒のみ。そのため、隠れ家的なのんびりした雰囲気が助長され、むしろ心地よい。

 デサルへはシンガポール空港から200人乗りのフェリーとバスを乗り継いで約1時間半ほど。ジョホール・バル(JB)からは車で2時間とアクセスがよく、組み合わせてシティとビーチの両方の魅力を提案することができる。

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客室、食事、アクティビティ、受け入れは万全

 滞在は「ザ・プライ・デサル・ビーチ・リゾート」(PDB)。日系の高級リゾート「デサル・ペルダナ・ビーチ・リゾート」のオーナー変更により、2004年7月に名称変更したリゾートだ。

バナナボート、カヤックなどビーチアクティビティが充実。台数を増やすことも可能(事前予約) 全197室がオーシャンビューで、そのうち7割がツイン。残りはキングサイズの1ベッドルームだ。テラスを含めれば300人以上を収容できるレストランもあり、ペルダナ時代には日本の専門学校の団体研修旅行を受け入れた実績がある。日本人スタッフも常駐しているので、サポート面も安心。食事はマレー、西洋、中華、日本食があり、セットメニューは100種類と多彩。どれも日本人好みの味付けで美味しい。ビーチやプールサイドでのバーベキューも可能だ。

 敷地内は多数の生徒が各アクティビティに興じるのに充分な広さ。ビーチではバナナボート、ジェットボード、パラセーリングなどのアクティビティがある。危険な生物もいないので安心だ。また、バレーやバトミントン、フットサル、テニス用のコートで遊べるほか、「カンポン風ボーリング」などのオリジナルのゲームはちょっとしたリクリエーションにぴったり。ただし、専任の監視員がいないので、事故がないように先生および引率者の監視が必要だ。

 ただ一つ、難点なのが水の問題。デサルから40キロ以上離れた街から水を運んでくるため、水道の水が少し黄色い場合がある。初めは躊躇するかもしれないが、逆に水資源の大切さを改めて認識するきっかけになるかもしれない。飲用はできないのでチェックイン時にホテルが飲用水(500ml)を1人1本、部屋に用意。翌日以降の手配にも応じるという。

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デサルならではの観光素材が充実
(上、右上)ザ・プライ・デサル・ビーチ・リゾート。多人数でアクティビティを楽しめる広い敷地とビーチを持つ。(右下)カンポンツアーでゴム採取。ランチではマレー式に手づかみで食べる体験も可能

 リゾートの外にはジャングルに囲まれたデサルならではの観光素材が豊富だ。例えばフルーツ・ファーム・ツアーは、マンゴー、ドリアンなど100種類のトロピカルフルーツを栽培する園内をガイドが英語で案内するもので、バナナやパイナップルは1本の木に1度しか収穫できないなど興味深い話も聞かれる。試食用としてもらえるフルーツ盛り合わせはボリュームたっぷりだ。


ジャングル・サバイバル。火おこしや木から採取した水を飲むなど本格的な体験。フルーツ・ファーム・ツアーはガイド1人につき約40人までがベスト。英語が話せるガイドは現在2人  また、ジャングルで迷った場合の対処法を教える「ジャングル・サバイバル」も面白い。火のおこし方や食べられる植物の見分け方を、ユーモアを交えて教授してくれる。ジャングルで捕獲したというウズラの炭焼きは思った以上に美味だ。

 このほか、PDBから20分ほどの場所にあるレバン川のリバー・クルーズで、マングローブに住むイグアナや猿などの動物が見られるほか、夜にはクリスマスツリーのようにきらきら光る蛍鑑賞も可能。PDBでは7種類のツアーを用意しているので、相談しながら決めていくのがよいだろう。

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学校との国際交流も可能、素材開発の課題も

 海外修学旅行の必須要件ともいえる国際交流も可能。PDB近くには4つの学校があり、そのうちの「バンダル・ペナワル・スポーツ・スクール」はマレーシアで2番目に大きいスポーツ専門学校だ。タイやブルネイなど海外の学校とのスポーツ交流もさかんで、毎年日サッカー交流で訪日している。文化交流にも意欲的で、要望があれば海外の学校を招いて3校での交流もできるという。

スポーツ・スクールには13〜17歳まで約600人の生徒が在籍。英会話もOK  ビーチを筆頭に多くの観光素材を有するデサル。だが、これらの施設や学校は日本からの修学旅行を受け入れた実績がほとんどないため、心細い印象を受ける点も否めない。例えば、英語を話せるガイドが少ないツアーや施設もあり、クラスごとに訪問時間をずらす工夫が必要だ。

 ただし、同行した旅行会社の修旅担当者は「素材が揃っている。特にビーチとホテルが良い」と好印象を持ったようだ。  既存の海外修学旅行先も初めは実績はゼロだったはず。新デスティネーションの提案は価格勝負にならない最大の決め手になるだけに、誘致に積極的な現地と協力していくことで、他社と差別化できる魅力的な修学旅行が実現するだろう。

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プライ・スプリング・リゾートに新施設がオープン
プライ・スプリング・リゾートに新施設がオープン  PDBの母体であるプライ・スプリング・リゾートは、JB郊外にある36ホールのチャンピオン・シップ・コースを有する5ツ星のゴルフ・リゾート。このほど9棟のバンガロー「Gangga Ayu」がオープン。また、アパートメントタイプの「Cinta Ayu」を建設中で、来年6月に販売する予定。
JB観光のランチはベイ・サイドで
JB観光のランチはベイ・サイドで  修学旅行でJB観光をするなら、ランチは「ダンガ・ベイ・リーフ」がお勧め。ウォーターテーマパーク部分は工事中だが、フードコート部分は既にオープン。マレーや中華、インドなど多様なフード・スタンドがある。トイレ(有料)も清潔。
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