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海外教育旅行メールマガジン 1月20日号
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旅行中の水分補給の大切さ

人の水分量はどのくらいあるのでしょうか?
  人間のからだは、水分とタンパク質、脂肪、ビタミン・ミネラルで構成されており、主成分である水分の量は年齢・性別により異なります。体重に占める水分量は、生まれたての赤ちゃんの場合70〜80%もありますが、小学生から中学生になるころになると60%台に減少し、成人男性の場合は約60%になります。その後、加齢とともに徐々に水分量は減り、高齢者では50%程度となってしまいます。女性の場合は男性に比べて脂肪が多い分、男性より5%くらい水分量は少ないと言われています。
  また、体の水分(体液)の中には電解質(イオン)が含まれており、そのバランスは、生命が発生した頃の海水にかなり近いと言われています。これは、人間を始めとする生物が海から生まれた生き物であることを物語っているのかもしれません。

水分は 1 日にどのくらい必要でしょうか
  体の外に排泄される一日の水分量は、成人男性の場合、尿として約 1500ml、呼吸や皮膚表面から気付かないうちに蒸発して失われる不感蒸泄として約 900ml、大便中に約100ml、合計で 2500mlとなります。糖質や脂質が代謝(エネルギーとして使われる)される際に約300mlの水分が生じますので、水分バランスを保つためには、2200mlの水分を飲みものと食事でとる必要があります。食事の水分が1000mlくらいだとすると、1 日に必要な水分量は約1200mlとなります。水分の摂取量が若干少なくても尿量で調整されますが、少なくとも1リットルの水分を一日に摂取するべきでしょう。
飲水条件の違いによる体液回復率

脱水時には糖電解質飲料
  運動や暑いところにいることで大量の汗をかいたり、下痢や嘔吐などで大量に水分が失われると、体内の水分が欠乏した状態、脱水になってしまいます。脱水になったときやその予防のためには、水分補給が必要であることはいうまでもありませんが、どのような水分を摂取するかがとても大切です。
  皆さんがご理解しやすいように、ここでラットを使った実験をご紹介します。右のグラフ(グラフ1)は、ラットを脱水状態にし、真水とイオン飲料を飲ませたときの体液の回復をみたものです。ごらんのように、真水だけでは失った体液量の半分までしか回復できません。その理由は、体液は水以外にナトリウムなどの電解質(イオン)が含まれているため、真水だけを飲むと電解質の濃度が薄くなってしまい、身体の体液バランスが崩れて危険だと察知して水分を体外に出してしまうためです。これを自発的脱水といいます。つまり失われた分を真水だけで補おうとしてもいつまでたっても脱水状態が改善されないということになります。一方、電解質や糖質を含んだイオン飲料はすばやく失われた水分量を回復することができます。
  ここで重要なのは、水分中の電解質の濃度です。日本体育協会によると、運動中に摂取すべき水分中の塩分濃度は0.1〜0.2%であるとしています。これを100mlになおすと40〜80mgとなります。これが、一般に言われているスポーツドリンクの“ナトリウム”の含有量の目安となっています。また糖分の濃度も重要で、2〜8%の糖分濃度が最も水分吸収が効率良く行われると言われています。すなわち、適度な電解質と糖分が入った水が必要だということです。旅先では、このようなイオン飲料が手に入らない場合もありますので、スポーツドリンクの粉末を日本から持参することをお勧めします。
イオン飲料摂取群は、ミネラルウォーター摂取群と比べて尿量が少なく、飲料の体内貯溜率が高いことが示されました 2001年国際航空宇宙医学会(ジュネーブ)発表データ


情報提供: 大塚製薬株式会社
監修: 株式会社日本航空インターナショナル
健康管理室 主席医師 医学博士 大越 裕文