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現地レポート:中仏・オーヴェルニュ地方、深い歴史と豊かな自然の山岳地帯

  • 2014年5月22日

世界遺産認定予定の山々でハイキング
「フランスで最も美しい村」に宿泊も

ル・ピュイにそびえるサン・ミッシェル岩 フランス中部のオーヴェルニュ地方は8万年前から8500年前の火山活動が形作った、のどかな山岳地帯だ。中心都市クレルモン・フェランはローマ時代にガリア人初の英雄を生んだ地、初めて十字軍派遣が決定されたなど歴史も深い。世界自然遺産登録の候補に上がっているシェヌ・デ・ピュイ火山群はミネラルウォーター「ボルヴィック 」の採水地など日本でも馴染みがある。しかし同地方はフランス人のリゾート地として年間大勢の観光客が訪れるが、外国人客は全体のわずか15%程度にすぎず、まさに今後本格的に海外へのマーケティング展開をおこなっていく場所だ。今回はフランスの“新たな素材”である、オーヴェルニュ地方の魅力を探った。


世界遺産登録予定のピュイ・ド・ドーム
自然と親しむハイキング、トレッキング素材

ピュイ・ド・ドーム頂上。この風景のシルエットがボルヴィックのボトルに描かれている オーヴェルニュ地方に直接入る場合はクレルモン・フェラン空港かリヨン空港がアクセスポイントとなる。TGVは停車しないので列車の移動はインターシティ利用となる。観光素材としては、まずは地方の首都であるクレルモン・フェランから車で40分ほどの休火山、ピュイ・ド・ドームを含むシェヌ・デ・ピュイ火山群があげられる。

丘陵地帯では茶色のサレール牛がのんびりと草をはむ シェヌ・デ・ピュイ火山群は早ければ2014年6月にユネスコの世界自然遺産登録に登録される見込みで、世界遺産の訴求度の高い日本市場には有望な素材だ。8万年前、6万年前など幾度もの火山活動による溶岩や火山灰が堆積により形成されており、火山は約8500年前の活動を最後に休火山となった。現在は1000m級の山々が連なる山岳地帯を緑豊かな牧草が覆い、特産のサレール牛が草をはむのどかな風景が見られる。

 中心となるピュイ・ド・ドームは標高1465メートルで、山頂へは麓のビジターセンターを併設する駅から登山列車で登る。現在発掘中のローマ時代の神殿の遺跡や原初キリスト教教会などの遺跡も見られ、火山活動を終えた山岳地域一帯に早くから人類の足跡があったことを伺わせる。また、登山列車で登った後、緩やかな斜面を2時間ほどのハイキングで降りるというルートをとれば、自然に親しみながらの散策が楽しめる。